第8回 オニアザミ群追記その2 ─奥只見のオニアザミ
「アザミ学事始 その7」では能登半島の固有種、調査中のノトオニアザミを取り上げた。夏のアザミ、現在オニアザミ群の種は各地で花を咲かせている。
その調査は引き続き行われている。最近になって、新潟県奥只見でたいへん興味深いオニアザミが見つかったので、ここではこのオニアザミを速報的に紹介したい。現在研究中であり、また分布域も狭いため、保護の目的からも産地を特定せず、以下、「奥只見のオニアザミ」と呼ぶことにする。2018年の調査では花はほとんど終わっていて、開花個体はわずかに見られる程度であった。したがって、2019年の再調査が必要である。
タイプ2
①花期に根生葉が生存。
②大型の頭花を下向きに咲かせる。
代表種=オニアザミなど
奥只見のオニアザミは蛇紋岩植物
オニアザミは基準産地を福島県とし、山形県、宮城県から栃木県を経由して、長野県、新潟県にかけて、オニアザミ群としては比較的広い範囲に分布している。ここで問題にする「奥只見」はこのオニアザミの分布域に含まれている。
図1は奥只見のオニアザミの生育地である。上述のように花は既に終わっているが、灰緑色の葉がよく目立つ。この草地は標高800mほどで、蛇紋岩土壌の上に成立している。
図1 奥只見のアザミの生育地(蛇紋岩地)。蛇紋岩地では森林は成立せず、このような日当たりの良い草地となることが多い。
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