春のシギチ祭り
全国シギ・チドリ類一斉カウントの結果は? シギチの疑問〜調査編
シギ・チドリに関する素朴な疑問に回答するシギチの疑問。
「生態編」につづいて、「調査」に関する疑問をバードリサーチ守屋さんに聞いてみました。
Q.調査道具を教えてください
A.メモ、ペン、双眼鏡、スコープ、カメラ、ビデオカメラ、カウンターです。
ビデオカメラは、採餌の様子を記録したりしています。
カウンターはすごく多そうな時に取り出します(バッグには入ってます)。
#「すごく多そうな時ってどれくらいですか」とお聞きしたら「1000羽超えぐらいでしょうか。」との答えでした。プロ過ぎて参考になりません…。
Q.メモはフィールドノートですか?
A.いえ、家の用事などすべてのことが書いてある生活ノートです(笑)
バードリサーチでは、記録はデータベースに入れて管理しています。すぐに取り出せてデータの散逸がありません。
Q."289羽"とか、1の位まで本当に数えてるんですか?
A.あれはすんごい頑張って数えてるんです。3桁の間は素で数えます。(※999まで、ということです)
シギ・チドリたちが止まっていれば、基本的にカウンター(数取器)を使ってすべて数えます。
しかし、数千-数万がいる場合、ざっと把握するために「100」ごとや「1000」ごとのまとまりにして素早く数えます。急いで数えないと人が近づいたり猛禽類が近づいたりして群れが動き、またイチから数えないとならないためです。
これは「桁が間違ってなければいい」という数え方になりますが、その後種類に分けて詳しく数えます。
Q.全国一斉カウントの時間はどうやって決めているのですか?
A.コアタイムは、 最干潮の前後30分と決めています。ですが場所によっては干潮時は鳥が分散してしまい、いなくなるところもあり一部不評です…。
干潮時でないとカウントできない場所もあるので、その形でスタートしました。ただ、全国的には干潟が広大すぎて満潮時の集まっている時しか把握が困難な場所もあります。そのため、コアタイムとそれ以外の時間も含めた集計をしています。
Q.バードリサーチさんの調査は、アマチュアの方に支えられているものが多く見受けられます。そういった形は世界的に鳥類の分野では同じ傾向なのでしょうか?
また、そういった調査が、研究・政策などに具体的に影響した例を教えてもらうことはできますか?
A.イギリスのBTO( 英国鳥類学トラスト )やアメリカのオーデュボン協会のように、繁殖している鳥を調べたり、庭に来る鳥を報告したり、クリスマスに一斉に鳥をカウントするイベントをしたり、世界でもバードウォッチャーが協力しているモニタリング調査は多くあります。少数の鳥類研究者が全国を調べることは困難ですが、各地で活動されているバードウォッチャーの協力を得ることができれば可能です。このような科学者と一般市民が協力して科学的な成果を上げる活動は、市民科学(シチズンサイエンス)と呼ばれています。
日本のシギ・チドリ類を例に上げると、春秋冬の調査が45年ほど蓄積されていて、絶滅危惧種を選定するレッドリストの参考にされたり、ラムサール条約登録湿地などの重要湿地の選定に利用されたりしています。
→NPO法人バードリサーチの参加型調査はこちらから(※外部サイトにリンクしています)
Q.今年の一斉調査はいかがでしたか?
A.全国に呼びかけたのは始めてでしたが、北海道から沖縄まで各地の湿地でご参加いただけました。
このようなカウントを積み上げることで、シギ・チドリの変化を見ることが出来るようになればいろいろなことが分かってくると思います。
もっと参加地が増えるとうれしいですね。
図鑑jpさんの協力もあって、今回楽しく行うことが出来ました。モニタリングは楽しく長く続けることが大切だと思っています。
全結果のPDFはこちら。
以下のマップでは、個体数の全国合計が多かった12種の種別の個体数を確認いただけます
※マーカーを押すとポップアップが開きます
※コアタイム・エクストラ・前後日、すべての結果を表示しています
※地点は代表点なので、正確な場所ではありません
すべて | ハマシギ | トウネン | キョウジョシギ | キアシシギ
| ミユビシギ
| ダイゼン
| メダイチドリ
| オオソリハシシギ
| ソリハシシギ
| ムナグロ
| セイタカシギ
| コチドリ
出典=全国シギ・チドリ類一斉カウント
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/waterbirds/shigitidori/TokyoBSS/SCJ-survey.html
次の一斉調査は、秋、9月6日ごろの世界シギチドリの日に合わせて実施予定だそうです!