回答
図鑑.jp事務局K
図鑑.jp事務局です。本投稿を「投稿ピックアップ」として図鑑.jpのfacebookページで紹介したところ、山階鳥類研究所の平岡考さんから興味深いコメントをいただきました。平岡さんのご承諾をいただき、また一部加筆訂正をいただきましたので、改めましてこちらでご紹介いたします。
(以下)
図鑑.jpのFacebookページで、キビタキの幼鳥は斑点があるんですね~という話題が出ているのを拝読しましたので少しうんちくを申し上げます。
その昔、ヒタキ科という名前のもとに、ウグイスの仲間、ムシクイの仲間、ツグミの仲間、狭義のヒタキの仲間、チメドリの仲間などいろんな仲間がみんな近い仲間ということでぜんぶまとまっていた時代がありました。
そのころ、狭義のヒタキ類の仲間(オオルリ、キビタキ、コサメビタキなど)、小型ツグミ類(ルリビタキなど)、大型ツグミ類(アカハラなど)など、最初に飛べるようになったときの羽(幼鳥の羽)が、体中点々でだんだら模様のグループと、ウグイスの仲間(ウグイスやヤブサメ)、ムシクイの仲間(メボソムシクイなど)、ヨシキリの仲間(オオヨシキリなど)のように最初に飛べるようになったときの羽(幼鳥の羽)が成鳥とほぼ同じでだんだらじゃないグループがごっちゃにまざっていて、変だなぁと思っていたものです。
この変だなあという感じは実は当たっていたことがその後、分かりました。DNAの研究で、幼鳥がだんだらな連中とそうでない連中はそんなに近い親戚じゃないことが分かったのです。
今の分類でいうヒタキ科には幼鳥がだんだらな仲間だけが入っています。昔の大所帯のヒタキ科のうち、幼鳥がだんだらじゃない、ウグイス類、ムシクイ類、ヨシキリ類、チメドリ類なんかは、同じく幼鳥がだんだらじゃない、メジロの仲間とも近いぞとなってきて、今はそれぞれ細かいまま独立して、ウグイス科、ムシクイ科、ヨシキリ科、メジロ科、チメドリ科などというグルーピングになっています。
一方、今、「ヒタキ科」としてまとめられている仲間は、大型ツグミ類のグループ(アカハラ、クロツグミなど)、いわゆる小型ツグミ類のグループ(ルリビタキなど)、そしていわゆる狭義のヒタキ類のグループ(オオルリ、キビタキ、コサメビタキなど)からなっていますが、これらは幼鳥がだんだらなんです(面倒なことに、ここで書いた小型ツグミ類と狭義のヒタキ類はたがいに混ざり合っていて、きれいにふたつのグループに分かれないこともわかりました。ただし、この分け方は野外識別の説明の上では便利と思いますのでここではその言い方を踏襲しています)。
うんちくが長くなりましたが、というわけで、キビタキ、オオルリ、コサメビタキ、ルリビタキ、コルリ、アカハラ、クロツグミなどという鳥たちはみんな幼鳥のときだんだらの羽色をしてるわけなんですね。逆に、もしも明らかに巣立ったばかりだろうという幼鳥を観察したとして、それがだんだらの模様をしてなければ、それは現在、「ヒタキ科」と言われている仲間じゃないことがわかります。
ちなみに、この写真の鳥の同定は暗いこともあって私には難しいですが、足が短くて、とまっている枝にお腹がぎりぎりくっつきそうに見えること、嘴が横から見ると細く見えるけれど上から見ると基部が広い三角形に見えること(上のコマでは嘴を見る角度が比較的上からになっていて、基部が幅広く見えますが、下の二コマは角度が横からに近くて比較的細く見えます)から、いわゆる「狭義のヒタキ類」の鳥と思われ、すでにお見立てがあるとおり、キビタキは有力な候補だと思います。いわゆる「小型ツグミ類」の幼鳥も同じくだんだらなわけですが、脚は巣立ったときにはすでに長く、枝にとまると普通はお腹が枝から離れて、腰高に見えることが多いはずですし、上方向から見た嘴ももっと基部の幅が細く見えるでしょう。
(以上)
(以下)
図鑑.jpのFacebookページで、キビタキの幼鳥は斑点があるんですね~という話題が出ているのを拝読しましたので少しうんちくを申し上げます。
その昔、ヒタキ科という名前のもとに、ウグイスの仲間、ムシクイの仲間、ツグミの仲間、狭義のヒタキの仲間、チメドリの仲間などいろんな仲間がみんな近い仲間ということでぜんぶまとまっていた時代がありました。
そのころ、狭義のヒタキ類の仲間(オオルリ、キビタキ、コサメビタキなど)、小型ツグミ類(ルリビタキなど)、大型ツグミ類(アカハラなど)など、最初に飛べるようになったときの羽(幼鳥の羽)が、体中点々でだんだら模様のグループと、ウグイスの仲間(ウグイスやヤブサメ)、ムシクイの仲間(メボソムシクイなど)、ヨシキリの仲間(オオヨシキリなど)のように最初に飛べるようになったときの羽(幼鳥の羽)が成鳥とほぼ同じでだんだらじゃないグループがごっちゃにまざっていて、変だなぁと思っていたものです。
この変だなあという感じは実は当たっていたことがその後、分かりました。DNAの研究で、幼鳥がだんだらな連中とそうでない連中はそんなに近い親戚じゃないことが分かったのです。
今の分類でいうヒタキ科には幼鳥がだんだらな仲間だけが入っています。昔の大所帯のヒタキ科のうち、幼鳥がだんだらじゃない、ウグイス類、ムシクイ類、ヨシキリ類、チメドリ類なんかは、同じく幼鳥がだんだらじゃない、メジロの仲間とも近いぞとなってきて、今はそれぞれ細かいまま独立して、ウグイス科、ムシクイ科、ヨシキリ科、メジロ科、チメドリ科などというグルーピングになっています。
一方、今、「ヒタキ科」としてまとめられている仲間は、大型ツグミ類のグループ(アカハラ、クロツグミなど)、いわゆる小型ツグミ類のグループ(ルリビタキなど)、そしていわゆる狭義のヒタキ類のグループ(オオルリ、キビタキ、コサメビタキなど)からなっていますが、これらは幼鳥がだんだらなんです(面倒なことに、ここで書いた小型ツグミ類と狭義のヒタキ類はたがいに混ざり合っていて、きれいにふたつのグループに分かれないこともわかりました。ただし、この分け方は野外識別の説明の上では便利と思いますのでここではその言い方を踏襲しています)。
うんちくが長くなりましたが、というわけで、キビタキ、オオルリ、コサメビタキ、ルリビタキ、コルリ、アカハラ、クロツグミなどという鳥たちはみんな幼鳥のときだんだらの羽色をしてるわけなんですね。逆に、もしも明らかに巣立ったばかりだろうという幼鳥を観察したとして、それがだんだらの模様をしてなければ、それは現在、「ヒタキ科」と言われている仲間じゃないことがわかります。
ちなみに、この写真の鳥の同定は暗いこともあって私には難しいですが、足が短くて、とまっている枝にお腹がぎりぎりくっつきそうに見えること、嘴が横から見ると細く見えるけれど上から見ると基部が広い三角形に見えること(上のコマでは嘴を見る角度が比較的上からになっていて、基部が幅広く見えますが、下の二コマは角度が横からに近くて比較的細く見えます)から、いわゆる「狭義のヒタキ類」の鳥と思われ、すでにお見立てがあるとおり、キビタキは有力な候補だと思います。いわゆる「小型ツグミ類」の幼鳥も同じくだんだらなわけですが、脚は巣立ったときにはすでに長く、枝にとまると普通はお腹が枝から離れて、腰高に見えることが多いはずですし、上方向から見た嘴ももっと基部の幅が細く見えるでしょう。
(以上)
回答日2017年07月05日
fukurow13
返答していただいてありがとうございます。自分の中でヒタキ類の幼鳥、細かい種の特定はできないで決着したと思っていたので、気が付かずに1月も経ってしまって済みませんでした。
回答日2017年08月23日