専門家の回答
平岡先生(山階鳥研)
平岡考先生(山階鳥類研究所)から回答がありました(事務局)
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この鳥はイソヒヨドリでしょう。嘴が異常に伸長している一種の奇形だと思います。
こういう不思議な鳥の同定は可能であればいろいろな角度から撮影した複数コマの写真を拝見したいところですが、アップロードされた1コマを拝見するかぎり、嘴以外の全体の形はツグミの仲間でおかしくないですし、翼も足も趾(あしゆび)のようすも、さらに鼻孔の形状なども、たとえばシギ類を思わせる特徴はなく、スズメ目の鳥のものと考えて矛盾はないと思います。
羽色についても、上面はやや青みがかったグレーで、腰のあたりの羽毛にやや不規則に暗色の横斑が見え、下面は褐色で、各羽に規則的な横斑があること、虹彩は褐色であること等、イソヒヨドリ(メス)で矛盾がある点は私は気づきません。
嘴については、この写真はややわかりづらいですが、上嘴のほうが下嘴よりかなり長く、また嘴の縁も上下がきちんと対応していないように見え、全体としてかみ合わせがきれいでないように見えることも、多くの鳥類の嘴を思い浮かべると例外的に感じられます(もちろん、イスカやスキハシコウのように、上下嘴がうまくかみあっていないのが正常という種もいないわけではありません)。私は世界中の鳥の嘴が全部思い浮かぶわけではないですが、私の知る限り、こういう嘴の鳥はいません。
嘴を除外すればイソヒヨドリで矛盾する点はなく、嘴を重視すれば、日本産鳥類はすべて除外され、海外にも思いうかぶ鳥がいないということだと、やはりこの鳥はイソヒヨドリで、嘴は奇形なのだろうと結論しておくのが妥当だろうと思います。
分布についても検討すると、「神奈川県鳥類目録VI(神奈川の鳥2006-2010)」(日本野鳥の会神奈川支部、2013年発行)を見ますと、イソヒヨドリは、神奈川県の海岸部を中心に周年生息しており、観察地の含まれる横浜市港南区でも周年べったりと記録があるわけではないものの、ふつうに観察されているようです。分布の上からもイソヒヨドリで矛盾はなさそうです。
なお、ご存じのように鳥の嘴の形は餌を採る習性と密接に結びついています。この個体がどんなふうに、どんな餌を食べているのかは興味深い点です。もし採食行動が観察できたらまたこちらでご報告いただければありがたいです。
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この鳥はイソヒヨドリでしょう。嘴が異常に伸長している一種の奇形だと思います。
こういう不思議な鳥の同定は可能であればいろいろな角度から撮影した複数コマの写真を拝見したいところですが、アップロードされた1コマを拝見するかぎり、嘴以外の全体の形はツグミの仲間でおかしくないですし、翼も足も趾(あしゆび)のようすも、さらに鼻孔の形状なども、たとえばシギ類を思わせる特徴はなく、スズメ目の鳥のものと考えて矛盾はないと思います。
羽色についても、上面はやや青みがかったグレーで、腰のあたりの羽毛にやや不規則に暗色の横斑が見え、下面は褐色で、各羽に規則的な横斑があること、虹彩は褐色であること等、イソヒヨドリ(メス)で矛盾がある点は私は気づきません。
嘴については、この写真はややわかりづらいですが、上嘴のほうが下嘴よりかなり長く、また嘴の縁も上下がきちんと対応していないように見え、全体としてかみ合わせがきれいでないように見えることも、多くの鳥類の嘴を思い浮かべると例外的に感じられます(もちろん、イスカやスキハシコウのように、上下嘴がうまくかみあっていないのが正常という種もいないわけではありません)。私は世界中の鳥の嘴が全部思い浮かぶわけではないですが、私の知る限り、こういう嘴の鳥はいません。
嘴を除外すればイソヒヨドリで矛盾する点はなく、嘴を重視すれば、日本産鳥類はすべて除外され、海外にも思いうかぶ鳥がいないということだと、やはりこの鳥はイソヒヨドリで、嘴は奇形なのだろうと結論しておくのが妥当だろうと思います。
分布についても検討すると、「神奈川県鳥類目録VI(神奈川の鳥2006-2010)」(日本野鳥の会神奈川支部、2013年発行)を見ますと、イソヒヨドリは、神奈川県の海岸部を中心に周年生息しており、観察地の含まれる横浜市港南区でも周年べったりと記録があるわけではないものの、ふつうに観察されているようです。分布の上からもイソヒヨドリで矛盾はなさそうです。
なお、ご存じのように鳥の嘴の形は餌を採る習性と密接に結びついています。この個体がどんなふうに、どんな餌を食べているのかは興味深い点です。もし採食行動が観察できたらまたこちらでご報告いただければありがたいです。
回答日2018年02月28日
lunashin
丁寧なコメントをいただきまして、ありがとうございました。
他の方のご指摘にもありましたが、おっしゃるように嘴の形がキウイのようになっているので決め手に欠けていましたが、専門家の助言をいただき少しモヤモヤが晴れた感じです。
この写真を撮った近くでおよそひと月後の2017-06-07に添付の写真を撮っていました。 このときはイソヒヨドリのオスが近くにいたためメスだと思ったのですが、よく見ると嘴が細長くなっていて、最初に投稿した写真に似ているようです。
他の方のご指摘にもありましたが、おっしゃるように嘴の形がキウイのようになっているので決め手に欠けていましたが、専門家の助言をいただき少しモヤモヤが晴れた感じです。
この写真を撮った近くでおよそひと月後の2017-06-07に添付の写真を撮っていました。 このときはイソヒヨドリのオスが近くにいたためメスだと思ったのですが、よく見ると嘴が細長くなっていて、最初に投稿した写真に似ているようです。
回答日2018年03月08日
回答