専門家の回答
平岡先生(山階鳥研)
平岡考先生(山階鳥類研究所)から回答がありましたので掲載します(事務局)
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質問に、「ホオジロでしょうか」と書いていただきました。ご自身のご意見、検討結果を書いていただくのは大変ありがたいです。確かに顔のパターンと体の下面が橙色なところを図鑑で見てゆくとホオジロに目がゆくかもしれません。
でも図鑑のホオジロの絵や写真を見てもちょっと得心がゆかないのじゃないでしょうか。たとえばホオジロの体の上面は、褐色の地に黒の縦斑がはっきり見えますよね。この鳥はその部分が一様で、特徴があいません。
ではこの鳥が何かですが、すこし目のつけどころを変えてみましょう。私の準備した参考画像をご覧になってください。4種の鳥の頭部の写真を配置してあります。羽色や模様だけを見ると、A1とB1が似て見えるかもしれませんが、ここで注目していただきたいのは嘴の形です。嘴の形がA1とA2はやや太いながら細長く、B1とB2は短くて基部が太くて横から見た輪郭が三角形です。お示しの画像の鳥は、この点を重視するとAのグループとBのグループどちらに含まれるか、おわかりですよね。そうです。お示しの画像の鳥はA のグループに属しています。
写真で示したAのグループは図鑑ではヒタキ科としてくくられているグループの中の、ツグミの仲間です(少し前の図鑑では、ヒタキ科ツグミ亜科とか、ツグミ科となっているかもしれません。また特にこの仲間を「大型ツグミ類」と説明してある図鑑もあるでしょう)。Bのグループはホオジロ科の鳥、つまりホオジロの仲間です(種名はそれぞれ、A1:ツグミ、A2:シロハラ、B1:ホオジロ、B2:アオジです)。鳥を見分けるときに注目するポイントとして羽色や模様があるのはもちろんですが、このように嘴の形で大きなグルーピングが異なることがわかるのです。ほかにも体のプロポーション、足の長さ、体を立ててとまっているか水平に近く保っているかなどが大きなグルーピングを判断する際に役立ちますので、この次、わからない鳥を図鑑で調べる際にはそういった点にも気をつけてみてください(この点で、科ごとの特徴が書いてある図鑑を1冊お手元に置かれることをお勧めします)。ちなみに今回はこの点は詳しく述べませんが、いわゆる「大型ツグミ類」とホオジロ科の仲間では体の大きさがかなり違うのも注意点です。
さて、お示しの鳥はツグミの仲間とわかりました。そこで、図鑑のツグミの仲間のページで、胸の前面から脇にかけて柿のような橙色をしている鳥を探してみると、アカハラ、アカコッコ、マミチャジナイという種がいることがお分かりと思います。このうち分布を見てみると、アカコッコは基本的に伊豆諸島など島だけの鳥なので除外してよさそうです。残ったアカハラとマミチャジナイが本州で多少とも普通に見られる鳥です。アカハラとマミチャジナイの識別のポイントは詳しくは図鑑をご覧いただきたいですが、いちばんのポイントは、明瞭な白い眉斑の有無です。アカハラの雌や幼鳥でも不明瞭な眉斑がある個体がいますが、このように明瞭で白い眉斑があればマミチャジナイとして大丈夫です。というわけで、お示しの写真の鳥は、すでに他の方もご指摘のとおりマミチャジナイでよろしいと思います。暗色の顎線とその上を限る白い線、白い喉、大雨覆の先端の淡色線等から昨年生まれの個体なのでしょう(部位の名称は図鑑の巻頭などに出ていますので見てみてください)。
マミチャジナイは極東ロシアで繁殖し、中国南部、台湾から東南アジアで越冬します。日本では西日本では越冬がありますが、関東地方では春と秋の通過鳥(いわゆる旅鳥)です。秋の渡りの際に気づくことが多いと思いますが、お示しの写真は春の渡りで北上してゆくさいに撮影されたものということになります。
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質問に、「ホオジロでしょうか」と書いていただきました。ご自身のご意見、検討結果を書いていただくのは大変ありがたいです。確かに顔のパターンと体の下面が橙色なところを図鑑で見てゆくとホオジロに目がゆくかもしれません。
でも図鑑のホオジロの絵や写真を見てもちょっと得心がゆかないのじゃないでしょうか。たとえばホオジロの体の上面は、褐色の地に黒の縦斑がはっきり見えますよね。この鳥はその部分が一様で、特徴があいません。
ではこの鳥が何かですが、すこし目のつけどころを変えてみましょう。私の準備した参考画像をご覧になってください。4種の鳥の頭部の写真を配置してあります。羽色や模様だけを見ると、A1とB1が似て見えるかもしれませんが、ここで注目していただきたいのは嘴の形です。嘴の形がA1とA2はやや太いながら細長く、B1とB2は短くて基部が太くて横から見た輪郭が三角形です。お示しの画像の鳥は、この点を重視するとAのグループとBのグループどちらに含まれるか、おわかりですよね。そうです。お示しの画像の鳥はA のグループに属しています。
写真で示したAのグループは図鑑ではヒタキ科としてくくられているグループの中の、ツグミの仲間です(少し前の図鑑では、ヒタキ科ツグミ亜科とか、ツグミ科となっているかもしれません。また特にこの仲間を「大型ツグミ類」と説明してある図鑑もあるでしょう)。Bのグループはホオジロ科の鳥、つまりホオジロの仲間です(種名はそれぞれ、A1:ツグミ、A2:シロハラ、B1:ホオジロ、B2:アオジです)。鳥を見分けるときに注目するポイントとして羽色や模様があるのはもちろんですが、このように嘴の形で大きなグルーピングが異なることがわかるのです。ほかにも体のプロポーション、足の長さ、体を立ててとまっているか水平に近く保っているかなどが大きなグルーピングを判断する際に役立ちますので、この次、わからない鳥を図鑑で調べる際にはそういった点にも気をつけてみてください(この点で、科ごとの特徴が書いてある図鑑を1冊お手元に置かれることをお勧めします)。ちなみに今回はこの点は詳しく述べませんが、いわゆる「大型ツグミ類」とホオジロ科の仲間では体の大きさがかなり違うのも注意点です。
さて、お示しの鳥はツグミの仲間とわかりました。そこで、図鑑のツグミの仲間のページで、胸の前面から脇にかけて柿のような橙色をしている鳥を探してみると、アカハラ、アカコッコ、マミチャジナイという種がいることがお分かりと思います。このうち分布を見てみると、アカコッコは基本的に伊豆諸島など島だけの鳥なので除外してよさそうです。残ったアカハラとマミチャジナイが本州で多少とも普通に見られる鳥です。アカハラとマミチャジナイの識別のポイントは詳しくは図鑑をご覧いただきたいですが、いちばんのポイントは、明瞭な白い眉斑の有無です。アカハラの雌や幼鳥でも不明瞭な眉斑がある個体がいますが、このように明瞭で白い眉斑があればマミチャジナイとして大丈夫です。というわけで、お示しの写真の鳥は、すでに他の方もご指摘のとおりマミチャジナイでよろしいと思います。暗色の顎線とその上を限る白い線、白い喉、大雨覆の先端の淡色線等から昨年生まれの個体なのでしょう(部位の名称は図鑑の巻頭などに出ていますので見てみてください)。
マミチャジナイは極東ロシアで繁殖し、中国南部、台湾から東南アジアで越冬します。日本では西日本では越冬がありますが、関東地方では春と秋の通過鳥(いわゆる旅鳥)です。秋の渡りの際に気づくことが多いと思いますが、お示しの写真は春の渡りで北上してゆくさいに撮影されたものということになります。
回答日2018年04月16日
回答
メガネ
お腹が赤いし…アカハラかと思いましたが、眉の白い線がずいぶんくっきりしていて…。さて…。
回答日2018年04月03日
rosy finch
マミチャジナイですかねー
回答日2018年04月03日
かのこしょうびん
マミチャジナイでいいのでは。
回答日2018年04月04日