専門家の回答

平岡先生(山階鳥研)
平岡先生(山階鳥類研究所)からコメントがありましたので掲載します(事務局)
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お示しの画像の鳥はアカマシコでよろしいと思います。スリムな感じの小鳥で嘴が短く太いことから、アトリ科かホオジロ科に絞りこめると思いますが、ホオジロ科は嘴がもう少し小さくてこんなに大きく丸く太くないのと、多くの種で、顔にコントラストのはっきりした模様があり、体の上面も褐色の地に黒っぽいはっきりした縦斑があること、たたんだ尾の先端がこのようにはっきりとM字になるものはいないので除外できます。
アトリ科まで絞ったあとですが、顔にろくに濃淡の模様のない一様な感じと下面の縦斑という点で、名前の出ているカワラヒワの幼鳥を思い浮かべる方もたしかに多いだろうと思います。
ですが幸いなことに、翼を広げたカットがあり、また尾も多少とも見えます。カワラヒワは成鳥ですとご存知のように、翼の初列風切、次列風切の基部と、中央尾羽以外の尾羽の基部に目立つ黄色い部分があります。実はこの黄色い部分は、幼羽すなわち、最初に飛べるようになったときの羽からあるのです。下記リンクの「新版日本の野鳥」(山と溪谷社)p. 602の写真4でご覧いただけるとおりです。
https://i-zukan.jp/contents/20/viewer?genre=1&page=603
というわけで、お示しの写真の広げた翼にも尾にも黄色い部分はないことから、カワラヒワは除外できます(さらに、カワラヒワの嘴は淡いピンクで嘴峰が直線的なことも写真の鳥と異なります)。
それでは何か、図鑑のアトリ科の種を順に見ていっていただきたいですが、顔が一様ではっきりした特徴がないこと、頭部から体上面全体が黄色みのある褐色で、中雨覆と大雨覆の先端にあまり太くない白っぽい線があること、体の下面に縦斑があることから、アカマシコに絞り込めると思います。名前の出ているベニマシコのメスは、体のプロポーションの上で尾が相対的に長く、嘴がもっと小さくて、翼の白帯がもっと幅広いです。またナキイスカはまずこの鳥の上下の嘴がくいちがっていないことから除外できますね(さらにナキイスカも翼の白帯が広いです)。お示しの写真の鳥の嘴が、嘴峰がやや湾曲して嘴が丸く見え、色が黒っぽいこと、足の色は褐色で、ピンクというほど淡くもなく、真っ黒でもないこともよくあい、以上のことからこの鳥はアカマシコとしてよいと思います。
性別と年齢ですが、多数の標本を調査して書かれた山階芳麿の「日本の鳥類と其の生態」(第1巻、1934)によると、アカマシコは幼羽と第一回冬羽では雌雄とも雌成鳥に似た羽衣だそうで、雄に赤い羽色が出て雌雄がぱっとわかるようになるのは生まれた翌年の秋に換羽して第二回冬羽になったときだそうです。体下面の縦斑が多く、比較的明瞭に見えることもこの鳥が若いことを示唆しているように思われますので、ここでは性別については決めないでおこうと思います。
ちなみに最新の情報が手元にないので確認が必要ですが、アカマシコは神奈川県の初記録かもしれません。神奈川県の鳥類記録を収集されている人に確認してあらためてご連絡いたします。
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お示しの画像の鳥はアカマシコでよろしいと思います。スリムな感じの小鳥で嘴が短く太いことから、アトリ科かホオジロ科に絞りこめると思いますが、ホオジロ科は嘴がもう少し小さくてこんなに大きく丸く太くないのと、多くの種で、顔にコントラストのはっきりした模様があり、体の上面も褐色の地に黒っぽいはっきりした縦斑があること、たたんだ尾の先端がこのようにはっきりとM字になるものはいないので除外できます。
アトリ科まで絞ったあとですが、顔にろくに濃淡の模様のない一様な感じと下面の縦斑という点で、名前の出ているカワラヒワの幼鳥を思い浮かべる方もたしかに多いだろうと思います。
ですが幸いなことに、翼を広げたカットがあり、また尾も多少とも見えます。カワラヒワは成鳥ですとご存知のように、翼の初列風切、次列風切の基部と、中央尾羽以外の尾羽の基部に目立つ黄色い部分があります。実はこの黄色い部分は、幼羽すなわち、最初に飛べるようになったときの羽からあるのです。下記リンクの「新版日本の野鳥」(山と溪谷社)p. 602の写真4でご覧いただけるとおりです。
https://i-zukan.jp/contents/20/viewer?genre=1&page=603
というわけで、お示しの写真の広げた翼にも尾にも黄色い部分はないことから、カワラヒワは除外できます(さらに、カワラヒワの嘴は淡いピンクで嘴峰が直線的なことも写真の鳥と異なります)。
それでは何か、図鑑のアトリ科の種を順に見ていっていただきたいですが、顔が一様ではっきりした特徴がないこと、頭部から体上面全体が黄色みのある褐色で、中雨覆と大雨覆の先端にあまり太くない白っぽい線があること、体の下面に縦斑があることから、アカマシコに絞り込めると思います。名前の出ているベニマシコのメスは、体のプロポーションの上で尾が相対的に長く、嘴がもっと小さくて、翼の白帯がもっと幅広いです。またナキイスカはまずこの鳥の上下の嘴がくいちがっていないことから除外できますね(さらにナキイスカも翼の白帯が広いです)。お示しの写真の鳥の嘴が、嘴峰がやや湾曲して嘴が丸く見え、色が黒っぽいこと、足の色は褐色で、ピンクというほど淡くもなく、真っ黒でもないこともよくあい、以上のことからこの鳥はアカマシコとしてよいと思います。
性別と年齢ですが、多数の標本を調査して書かれた山階芳麿の「日本の鳥類と其の生態」(第1巻、1934)によると、アカマシコは幼羽と第一回冬羽では雌雄とも雌成鳥に似た羽衣だそうで、雄に赤い羽色が出て雌雄がぱっとわかるようになるのは生まれた翌年の秋に換羽して第二回冬羽になったときだそうです。体下面の縦斑が多く、比較的明瞭に見えることもこの鳥が若いことを示唆しているように思われますので、ここでは性別については決めないでおこうと思います。
ちなみに最新の情報が手元にないので確認が必要ですが、アカマシコは神奈川県の初記録かもしれません。神奈川県の鳥類記録を収集されている人に確認してあらためてご連絡いたします。
回答日2019年06月27日

asekaki
私は、たまには少しばかり遠出するものの、自宅から約半径10km以内での探鳥を楽しんでおります。
他の地では珍しくない鳥でも、この地では見ることが難しい鳥が見れた時の嬉しさはひとしおです。
今回、神奈川での観察は珍しいアカマシコと同定して戴き望外の喜びです。
ありがとうございました。
他の地では珍しくない鳥でも、この地では見ることが難しい鳥が見れた時の嬉しさはひとしおです。
今回、神奈川での観察は珍しいアカマシコと同定して戴き望外の喜びです。
ありがとうございました。
回答日2019年06月28日

平岡先生(山階鳥研)
平岡先生から追加のコメントがありましたので掲載します(事務局)
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神奈川県内のアカマシコの記録について調べてみました。
『神奈川の鳥2006-2010』(日本野鳥の会神奈川支部(2013))所収の「神奈川県産鳥類リスト」は、同支部の集積した記録に、1901年以降の文献記録も加えたものですが、このリストにアカマシコは掲載されていません。さらに、日本野鳥の会神奈川支部で記録収集に関係している方にうかがいましたが、県内の記録はないとおっしゃっています。
稀な分布記録がきちんと収集されていることは学術的にもまたバードウォッチングのコミュニティの情報共有のためにも大切です。今回の記録について連絡しておきましたので、図鑑.jpの事務局経由でasekakiさんに連絡があるかもしれません。その際はぜひ観察情報の提供についてご協力いただければ大変ありがたいです。
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神奈川県内のアカマシコの記録について調べてみました。
『神奈川の鳥2006-2010』(日本野鳥の会神奈川支部(2013))所収の「神奈川県産鳥類リスト」は、同支部の集積した記録に、1901年以降の文献記録も加えたものですが、このリストにアカマシコは掲載されていません。さらに、日本野鳥の会神奈川支部で記録収集に関係している方にうかがいましたが、県内の記録はないとおっしゃっています。
稀な分布記録がきちんと収集されていることは学術的にもまたバードウォッチングのコミュニティの情報共有のためにも大切です。今回の記録について連絡しておきましたので、図鑑.jpの事務局経由でasekakiさんに連絡があるかもしれません。その際はぜひ観察情報の提供についてご協力いただければ大変ありがたいです。
回答日2019年07月02日

asekaki
この度は、神奈川県での観察記録についてご確認くださいましてありがとうございました。
少しでもお役に立てるのでしたならば喜んでご協力させていただきます。
以上、ありがとうございました。
少しでもお役に立てるのでしたならば喜んでご協力させていただきます。
以上、ありがとうございました。
回答日2019年07月03日

回答

Elinor
わたし自身、アカマシコを見たことがないので自信はありませんが、アカマシコのメスでいいと思います。太平洋側では珍しいですよね。
尾羽の形からアトリ科であろうというところまでは絞り込めますが、そこから先は他の特徴を合わせて検討する必要があると思います。
尾羽の形からアトリ科であろうというところまでは絞り込めますが、そこから先は他の特徴を合わせて検討する必要があると思います。
回答日2019年06月12日

asekaki
Elinorさん、ご回答ありがとうございます。
この写真だけで判別するのは難しいということ承知いたしました。
木の中に何か入ったと思ってシャッターを切ったのですが、フォーカスが合わずマゴマゴしているうちに去って行ってしまいました。
木に止まっていたのが1分弱で、鳥の動きもこの姿勢だけだったので後ろ姿などは撮れませんでした。
判別できないのは残念ですが、”神奈川で見ることが難しい鳥かもしれない”と思えるだけで嬉しい出会いとなりました。
ありがとうございました。
この写真だけで判別するのは難しいということ承知いたしました。
木の中に何か入ったと思ってシャッターを切ったのですが、フォーカスが合わずマゴマゴしているうちに去って行ってしまいました。
木に止まっていたのが1分弱で、鳥の動きもこの姿勢だけだったので後ろ姿などは撮れませんでした。
判別できないのは残念ですが、”神奈川で見ることが難しい鳥かもしれない”と思えるだけで嬉しい出会いとなりました。
ありがとうございました。
回答日2019年06月13日

Elinor
asekiakiさん
あ、すみません。返信付けるところを間違えたみたいですが、後半は尾羽の形からカワラヒワと断言はできないだろうと言う意味で書きました。
白い2本の翼帯でベニマシコ、アカマシコ、ナキイスカまで絞れそうな気がしますし、色と嘴の形からアカマシコだろうとは思うのですが、他に類似の種がいないかどうかまでは自信がなくて、このような書き方になりました。
あ、すみません。返信付けるところを間違えたみたいですが、後半は尾羽の形からカワラヒワと断言はできないだろうと言う意味で書きました。
白い2本の翼帯でベニマシコ、アカマシコ、ナキイスカまで絞れそうな気がしますし、色と嘴の形からアカマシコだろうとは思うのですが、他に類似の種がいないかどうかまでは自信がなくて、このような書き方になりました。
回答日2019年06月17日

