専門家の回答
平岡先生(山階鳥研)
平岡先生(山階鳥類研究所)から回答がありましたので掲載します(事務局)
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お示しの画像の鳥はツミでよろしいです。頭部と体上面がスレート灰色で下面の地色が白く胸から腹に赤みのある褐色の横斑があること、体のサイズが花の咲いたサクラとの比較からカラスなどよりはかなり小さそうに見えること等から、ハイタカあるいはツミという推測ができます。
ツミとハイタカでは体のサイズがハイタカのほうが大きいのですが、それぞれの種の中で雌が大きく雄が小さくて、両種はメス同士、オス同士であればはっきりと体のサイズが違います。このため、性が判断できて、体のサイズが測定できれば識別が可能です。
ただし、野外ではなかなか難しい場合があるでしょう。ここでツミとした判断は、頭部の灰色が目の下まで色が淡くなりながら伸びており、目深に頭巾を被ったようになっていること、喉は白地で、中央に一本の太い線があることといった点によります。ハイタカでは頭部の灰色と喉の白の境界がグラデーションにならず、目の下縁をはっきりと区切るように見え、喉には細かい縦斑がたくさんあるといった点でこの個体と異なります(下記の図鑑のp. 374の写真(3) はハイタカのメスですが、こういった特徴がおわかりと思います)。
ハイタカ(『新版日本の野鳥』山と溪谷社)
https://i-zukan.jp/contents/20/viewer?genre=1&page=375
※リンクから電子書籍ビューアが立ち上がります。図鑑の参照には有料コースへの加入が必要ですが、20日間の無料トライアルでもご覧いただけます(事務局)
この仲間の識別のための注意点の中には眼瞼の色彩もたしかにありますが、ツミもハイタカも眼瞼は黄色く、眼瞼の色彩によって両種を区別するのは難しいと思います。お示しの写真は周囲に写っているサクラの花の色が明るいため、鳥が露出アンダー気味になっているため見づらいのだと思いますが、よく見れば眼瞼は黄色いことがわかります。お示しの画像を切り出してレベルを変えてみました(色彩は変えずに明るさのみ変えてみた)のでご覧になってください(ちなみに、眼瞼の色彩が黄色くないことがポイントになるのはツミとほぼ同大で、おもに九州、沖縄地方で渡りの時期に観察されるアカハラダカです)。
性別は虹彩が黄色いこと等から雌でしょう。
ツミは1970年代までは観察が難しいタカでしたが、1980年代前半から東京周辺の住宅地などでも繁殖が知られるようになり、現在は各地の郊外の住宅地などでもっとも身近なタカになっています。埼玉県での生息状況は、少し前の資料ではありますが、下記『埼玉県レッドデータブック2008 動物編』に述べられています(p. 90)。これによると、埼玉県内でも「低地帯から低山帯にかけて繁殖し、冬期も少数が見られる」とされており、県内各地で生息していることが記されています。
埼玉県レッドデータブック2008 動物編 (2) 鳥類
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/red/documents/351262.pdf
ツミは神社や小公園などの樹木でも繁殖しますが、野鳥の繁殖はデリケートです。営巣木の真下で人間が四六時中張っているというようなことをすると繁殖の失敗を招くことがあります。営巣を発見してもそういったことは極力避けて、遠くから見守る程度にとどめるようにしてくださいね。
* * *
ツミの掲載ページ一覧
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=676
ハイタカの掲載ページ一覧
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=677
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お示しの画像の鳥はツミでよろしいです。頭部と体上面がスレート灰色で下面の地色が白く胸から腹に赤みのある褐色の横斑があること、体のサイズが花の咲いたサクラとの比較からカラスなどよりはかなり小さそうに見えること等から、ハイタカあるいはツミという推測ができます。
ツミとハイタカでは体のサイズがハイタカのほうが大きいのですが、それぞれの種の中で雌が大きく雄が小さくて、両種はメス同士、オス同士であればはっきりと体のサイズが違います。このため、性が判断できて、体のサイズが測定できれば識別が可能です。
ただし、野外ではなかなか難しい場合があるでしょう。ここでツミとした判断は、頭部の灰色が目の下まで色が淡くなりながら伸びており、目深に頭巾を被ったようになっていること、喉は白地で、中央に一本の太い線があることといった点によります。ハイタカでは頭部の灰色と喉の白の境界がグラデーションにならず、目の下縁をはっきりと区切るように見え、喉には細かい縦斑がたくさんあるといった点でこの個体と異なります(下記の図鑑のp. 374の写真(3) はハイタカのメスですが、こういった特徴がおわかりと思います)。
ハイタカ(『新版日本の野鳥』山と溪谷社)
https://i-zukan.jp/contents/20/viewer?genre=1&page=375
※リンクから電子書籍ビューアが立ち上がります。図鑑の参照には有料コースへの加入が必要ですが、20日間の無料トライアルでもご覧いただけます(事務局)
この仲間の識別のための注意点の中には眼瞼の色彩もたしかにありますが、ツミもハイタカも眼瞼は黄色く、眼瞼の色彩によって両種を区別するのは難しいと思います。お示しの写真は周囲に写っているサクラの花の色が明るいため、鳥が露出アンダー気味になっているため見づらいのだと思いますが、よく見れば眼瞼は黄色いことがわかります。お示しの画像を切り出してレベルを変えてみました(色彩は変えずに明るさのみ変えてみた)のでご覧になってください(ちなみに、眼瞼の色彩が黄色くないことがポイントになるのはツミとほぼ同大で、おもに九州、沖縄地方で渡りの時期に観察されるアカハラダカです)。
性別は虹彩が黄色いこと等から雌でしょう。
ツミは1970年代までは観察が難しいタカでしたが、1980年代前半から東京周辺の住宅地などでも繁殖が知られるようになり、現在は各地の郊外の住宅地などでもっとも身近なタカになっています。埼玉県での生息状況は、少し前の資料ではありますが、下記『埼玉県レッドデータブック2008 動物編』に述べられています(p. 90)。これによると、埼玉県内でも「低地帯から低山帯にかけて繁殖し、冬期も少数が見られる」とされており、県内各地で生息していることが記されています。
埼玉県レッドデータブック2008 動物編 (2) 鳥類
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/red/documents/351262.pdf
ツミは神社や小公園などの樹木でも繁殖しますが、野鳥の繁殖はデリケートです。営巣木の真下で人間が四六時中張っているというようなことをすると繁殖の失敗を招くことがあります。営巣を発見してもそういったことは極力避けて、遠くから見守る程度にとどめるようにしてくださいね。
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ツミの掲載ページ一覧
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=676
ハイタカの掲載ページ一覧
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=677
回答日2018年04月25日
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