専門家の回答
平岡先生(山階鳥研)
平岡先生(山階鳥類研究所)から回答がありましたので掲載します(事務局)
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お示しの画像の鳥はおっしゃるとおりハチクマでよろしいです。お示しの鳥は翼の長さと幅があり、尾もやや長いですが、体との関係でとても長いということはありません。
飛翔形がこの鳥に割合似て見えて、本州の内陸で観察できそうな鳥としては、クマタカ、ノスリ、サシバがありますが、これらは、それぞれ少しずつプロポーションや羽色が異なるほかに(詳しくは図鑑をご覧になってください)、おっしゃるとおり、翼の先端の外側の初列風切が指状に分かれる数で除外できます。つまり、お示しの鳥はそれが6枚で、ハチクマに一致しますが、クマタカは7枚、ノスリ、サシバは5枚です。
この鳥と同じく、外側の初列風切が指状に分かれる数が6枚で、本州の内陸で繁殖期に見られそうな鳥としては、オオタカ、ハイタカとトビもありますが、オオタカとハイタカは、プロポーションの上で翼がこんなに広大に見えず、逆に尾が全体との比較でかなり長く見え、飛翔形がかなり違って見えます。またトビはご存知のように、尾の形が両端が角張った三角形をしています(よく「三味線のばち形」と言いますが、若い世代には今やかえってイメージしづらいかもしれません)。
さらにおっしゃるように、頭が小さく頸が長めに見えるのもハチクマの特徴です。失礼してお示しの画像から鳥を大きく切り出してみましたが、特に左側のカットで頭が小さい感じがおわかりだろうと思います。
それからハチクマは尾のパターンが独特で、ノスリであれば尾には太くて明瞭な暗色線はなく、クマタカ、サシバ、オオタカ等であればほぼ等間隔に4本の暗色線が見えますが、ハチクマの尾は暗色線の並びが不規則です。いくつかのパターンがあるので詳しくは図鑑をご覧いただきたいですが、切り出した写真の右のコマはそんなに明瞭じゃないながら、尾の先端と、尾の真ん中より少し基部寄りに太い暗色線があるとこう見えるだろうというパターンがぼんやり見えると思います。この点もハチクマの特徴によく合います。
お示しの画像では2個体が見えますね。繁殖しているのでしょうか?ハチクマは、繁殖期には、下記リンクにも図示されているように、急降下と急上昇を繰り返しては急上昇の頂上で、ホバリングして両翼を背中で打ち合わせるディスプレイをします。そういう行動が観察できれば興味深いですね。興味深い行動が観察できたらぜひ報告してください。
バードリサーチ生態図鑑
https://i-zukan.jp/contents/40/viewer?genre=1&page=131
原色日本野鳥生態図鑑陸鳥編
https://i-zukan.jp/contents/34/viewer?genre=1&page=168
※ 初列風切が指状に分かれる数というのがわかりづらいかもしれません。下記の回答に写真で示しましたのでご覧ください。
オオタカでしょうか
https://i-zukan.jp/posts/645
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お示しの画像の鳥はおっしゃるとおりハチクマでよろしいです。お示しの鳥は翼の長さと幅があり、尾もやや長いですが、体との関係でとても長いということはありません。
飛翔形がこの鳥に割合似て見えて、本州の内陸で観察できそうな鳥としては、クマタカ、ノスリ、サシバがありますが、これらは、それぞれ少しずつプロポーションや羽色が異なるほかに(詳しくは図鑑をご覧になってください)、おっしゃるとおり、翼の先端の外側の初列風切が指状に分かれる数で除外できます。つまり、お示しの鳥はそれが6枚で、ハチクマに一致しますが、クマタカは7枚、ノスリ、サシバは5枚です。
この鳥と同じく、外側の初列風切が指状に分かれる数が6枚で、本州の内陸で繁殖期に見られそうな鳥としては、オオタカ、ハイタカとトビもありますが、オオタカとハイタカは、プロポーションの上で翼がこんなに広大に見えず、逆に尾が全体との比較でかなり長く見え、飛翔形がかなり違って見えます。またトビはご存知のように、尾の形が両端が角張った三角形をしています(よく「三味線のばち形」と言いますが、若い世代には今やかえってイメージしづらいかもしれません)。
さらにおっしゃるように、頭が小さく頸が長めに見えるのもハチクマの特徴です。失礼してお示しの画像から鳥を大きく切り出してみましたが、特に左側のカットで頭が小さい感じがおわかりだろうと思います。
それからハチクマは尾のパターンが独特で、ノスリであれば尾には太くて明瞭な暗色線はなく、クマタカ、サシバ、オオタカ等であればほぼ等間隔に4本の暗色線が見えますが、ハチクマの尾は暗色線の並びが不規則です。いくつかのパターンがあるので詳しくは図鑑をご覧いただきたいですが、切り出した写真の右のコマはそんなに明瞭じゃないながら、尾の先端と、尾の真ん中より少し基部寄りに太い暗色線があるとこう見えるだろうというパターンがぼんやり見えると思います。この点もハチクマの特徴によく合います。
お示しの画像では2個体が見えますね。繁殖しているのでしょうか?ハチクマは、繁殖期には、下記リンクにも図示されているように、急降下と急上昇を繰り返しては急上昇の頂上で、ホバリングして両翼を背中で打ち合わせるディスプレイをします。そういう行動が観察できれば興味深いですね。興味深い行動が観察できたらぜひ報告してください。
バードリサーチ生態図鑑
https://i-zukan.jp/contents/40/viewer?genre=1&page=131
原色日本野鳥生態図鑑陸鳥編
https://i-zukan.jp/contents/34/viewer?genre=1&page=168
※ 初列風切が指状に分かれる数というのがわかりづらいかもしれません。下記の回答に写真で示しましたのでご覧ください。
オオタカでしょうか
https://i-zukan.jp/posts/645
回答日2018年07月15日
K.N.
詳しい解説ありがとうございます。猛禽はいつも遠くて、飛んでいる雰囲気とシルエットで、ハチクマかな〜・・とかサシバかな〜・・・で鑑別挫折してしまいます。ですが、どんな画像でも撮っておけば、このように詳しく切り取って観察してゆけばもっと正体に近づけるのですね!ありがとうございました。
回答日2018年07月25日
回答