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日本自然保護協会 自然しらべ2018応援企画

身近なアリしらべ!

2018-07-23

公益財団法人日本自然保護協会では、毎年誰もが気軽に参加できる自然環境調査「自然しらべ」をおこなっています。
今年のテーマはアリ。監修を、図鑑jpにも掲載されている図鑑『日本産アリ類図鑑』の著者、寺山守先生が担当されています。
図鑑jpでは、「自然しらべ」のマニュアル「身近の観察しやすいアリ20種図鑑」(+北海道編、琉球諸島編)を公開し、この調査を応援します!

もちろん、このマニュアルよりもっと詳しくアリを調べたい場合、『日本産アリ類図鑑』をご覧下さい。

 

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アリ観察で分かる日本の自然

 今年の自然しらべでは「アリ」をしらべます。アリは種類ごとにさまざまな環境を使っており、樹木には樹上性のアリ、また、裸地には裸地を好むアリ、と各環境にそれぞれ生息しています。また、アリの種数が多い場所というのは、それだけ多様な環境があり安定した環境であるともいえます。例えば、草地や裸地にどんな種類のアリがいるか、どのぐらいの種数がいるのか注目することで、その裸地がいつかく乱されたかどうかを推測することもできます。このようにアリを観察することでその場所の生物多様性の状態を診断することができるのです。身近に存在しながら、普段あまり注目されていないアリですが、自然の状態を把握するのに適した生きものなのです。

 残念なことに昨年のヒアリ侵入のニュースで〝アリは悪い生きもの〟という認識が広がりました。専門家からは、ヒアリが定着し爆発的に拡散することで、日本の在来アリたちが次々に駆逐されてしまう危険性も指摘されています。同時に、在来アリが高い密度で生息していることで、その環境に外来アリが定着する隙間、すなわち、女王アリが新たな巣を作り出す可能性を減らせる効果があるという、海外の研究報告もあります。ヒアリが怖いというだけで殺虫剤を撒いて在来のアリをも含めて駆逐することは、逆にヒアリなどの外来アリが定着しやすい環境をつくってしまうことなのです。

 実は、日本のアリがどういうところでどれくらい生息しているかという全国的な調査はあまりされていません。その意味でも、今回のアリしらべは市民が実施する全国調査としてとても意味があることなのです。

 在来アリの観察を通じて身近な自然環境の多様さを知ってもらうとともに、在来アリの今の生息情報をしっかりと把握して、今後のヒアリなどの外来種の定着に対し脆弱な場所はどこなのかを知ることはとても重要です。ぜひ、皆様のご参加・協力をお願いいたします。

辻村千尋・日本自然保護協会 保護室

(公益財団法人日本自然保護協会 会報『自然保護』7・8月号より転載)

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●「身近なアリ調べ」マニュアル「身近に観察しやすりアリ20種図鑑」本州~九州編(PDFが開きます)
アリ20種図鑑
※どなたでもご覧いただけます

●北海道編  ●琉球諸島編
北海道編は、本州~九州の山地でも活用できるそうですよ!



日本産アリ類図鑑
日本産アリ類図鑑
※『日本産アリ類図鑑』の閲覧には、有料コースへの加入が必要です(20日間の無料トライアルでもご覧いただけます)


具体的な調べ方や調査結果の送付方法など詳しくは自然保護協会のサイトをご覧下さい。

自然しらべトップ https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11192/

 - しらべ方と参加マニュアル→https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11198/

 - 調査結果の送付方法→https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11203/




公益財団法人 日本自然保護協会について

自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。会員2万4千人。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。
https://www.nacsj.or.jp

 
*図鑑jpでは、日本自然保護協会の会員の方が有料コースに加入する際、特別割引が適用されます。コース加入前に、会員番号を記載の上、お問合せください。

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