イカリソウの生殖について
いいね!7件
いいね!4件
いいね!5件
推察される和名 | イカリソウ |
自信度 | ★★★ |
撮影場所 | 東京都 / 町田市の公園内 |
撮影日時 | 2017-04-13 |
種名に関する質問ではないのですが、図鑑で調べてもわからないので知っている方がいたら教えてください。
自宅近くの多摩の里山に、イカリソウがわずかに生育しています。数年かけて周囲を探していますが、この株以外には見つけられません。なんとか個体数が増えて生き残って欲しいと願っているのですが…。イカリソウは自家受粉可能でしょうか?自殖できないとなると、なくなっていくしかないのでしょうか。
自宅近くの多摩の里山に、イカリソウがわずかに生育しています。数年かけて周囲を探していますが、この株以外には見つけられません。なんとか個体数が増えて生き残って欲しいと願っているのですが…。イカリソウは自家受粉可能でしょうか?自殖できないとなると、なくなっていくしかないのでしょうか。
u.y.
投稿日 | 2018年02月23日 |
最終更新日 | 2019年03月05日 |
閲覧数 | 3,836 Views |
専門家の回答
小林先生(長池公園)
小林健人先生(長池公園副園長)からコメントがありました(事務局)
***
イカリソウは自家不和合性を持ち、自家受粉で種子を作ることはできないと言われています。
また、種子の散布者はスミレなどと同じアリが担っています。
多摩地域(丘陵部)の自生地では、今回のケースのように、都市公園内の林縁や谷戸の緩斜面などに単生あるいは数株が点在して生育している場合がほとんどです。
都立公園や一部の市立公園では、保全対策を講じており、
①生育地保全(マーキングや周囲の笹刈りなどの環境改善)
②生育地外保全(適地への移植)
等が主な手法となっています。
多年草といっても、冬場は枯れて地上から姿を消してしまいますので、場所がわからなくならないようにマーキングしておき、芽吹きに備え、冬のうちに笹を刈っておくなど、周囲の環境を整えることが重要となります。
言い換えれば、生育環境が極端に悪くなったり、日照などの条件が変わってしまったりしない限りは、毎年、地下茎から地上に芽吹いて成長し、花を咲かせてくれるということです。
(※株分けや移植の具体的な方法については、園芸に関するwebサイトが詳しいです。)
公園内ということなので、まずは管理者に相談してみるのが最良の策でしょう。
本種の分布は全国に及びますが、東京都ではレッドデータ記載種にもなっているほど減少傾向にあるため、管理者としても蔑ろにはできないはずですよ。
***
イカリソウは自家不和合性を持ち、自家受粉で種子を作ることはできないと言われています。
また、種子の散布者はスミレなどと同じアリが担っています。
多摩地域(丘陵部)の自生地では、今回のケースのように、都市公園内の林縁や谷戸の緩斜面などに単生あるいは数株が点在して生育している場合がほとんどです。
都立公園や一部の市立公園では、保全対策を講じており、
①生育地保全(マーキングや周囲の笹刈りなどの環境改善)
②生育地外保全(適地への移植)
等が主な手法となっています。
多年草といっても、冬場は枯れて地上から姿を消してしまいますので、場所がわからなくならないようにマーキングしておき、芽吹きに備え、冬のうちに笹を刈っておくなど、周囲の環境を整えることが重要となります。
言い換えれば、生育環境が極端に悪くなったり、日照などの条件が変わってしまったりしない限りは、毎年、地下茎から地上に芽吹いて成長し、花を咲かせてくれるということです。
(※株分けや移植の具体的な方法については、園芸に関するwebサイトが詳しいです。)
公園内ということなので、まずは管理者に相談してみるのが最良の策でしょう。
本種の分布は全国に及びますが、東京都ではレッドデータ記載種にもなっているほど減少傾向にあるため、管理者としても蔑ろにはできないはずですよ。
回答日2018年02月28日
u.y.
やはり自家不和合性がありましたか、残念です……。が、保全に関するアドバイスまでいただいてありがとうございます!少し希望が見えてきました。
一市民の意見をどれだけ真剣に聞いていただけるかわかりませんが、管理者の方に相談してみたいと思います('◇')ゞ!
もしよろしければ2点更に教えていただけますか。
①植物にも寿命はあると思うのですが、株分け等で半永久的に保全できるのでしょうか?
②自家不和合性等に関して、掲載されている図鑑があるのでしょうか?
お忙しいところ大変恐縮ですが、お手すきの際にでも、よろしくお願いいたします。
一市民の意見をどれだけ真剣に聞いていただけるかわかりませんが、管理者の方に相談してみたいと思います('◇')ゞ!
もしよろしければ2点更に教えていただけますか。
①植物にも寿命はあると思うのですが、株分け等で半永久的に保全できるのでしょうか?
②自家不和合性等に関して、掲載されている図鑑があるのでしょうか?
お忙しいところ大変恐縮ですが、お手すきの際にでも、よろしくお願いいたします。
回答日2018年03月01日
小林先生(長池公園)
日本で唯一ともいうべきイカリソウ属のモノグラフ、「自然史双書3-日本のイカリソウ:起源と種分化」(鈴木和雄著・八坂書房)は、日本産イカリソウ属植物について、分類を中心にしつつ繁殖様式なども幅広く取り上げて記載がなされており、大変参考になります。
多くの一般向けの図鑑において、属・種の解説や検索表などがこの本を参考にして書かれているようです。
自家不和合性については、八王子市椚田の集団を対象にした袋がけ実験と交配実験に基づき、「自家不和合性が非常に高いことがわかる。」と結論付けられています。
(※409個体中、自家受粉による平均結実率は0.87%であったそうです。)
もう一つのご質問、地下茎の寿命につきましては、私にはわかりません。
イカリソウに限らず、多年草というのは、仮に全く生育条件が変わらないとすれば半永久的に生き続けるものと思います。
ただし実際には、樹木などと比べて微妙な環境の変化による影響を受けやすく、このことでいずれは地下部が枯死してしまうケースが多いのではないかと推測します。
また、株分けですが、延命措置というよりは、あくまで人為的にクローンを殖やす、いわば保険のようなものだと思います。
以上、参考になりましたら幸いです。
今後も、命ある限り、ぜひとも大事に見守っていって下さい。
多くの一般向けの図鑑において、属・種の解説や検索表などがこの本を参考にして書かれているようです。
自家不和合性については、八王子市椚田の集団を対象にした袋がけ実験と交配実験に基づき、「自家不和合性が非常に高いことがわかる。」と結論付けられています。
(※409個体中、自家受粉による平均結実率は0.87%であったそうです。)
もう一つのご質問、地下茎の寿命につきましては、私にはわかりません。
イカリソウに限らず、多年草というのは、仮に全く生育条件が変わらないとすれば半永久的に生き続けるものと思います。
ただし実際には、樹木などと比べて微妙な環境の変化による影響を受けやすく、このことでいずれは地下部が枯死してしまうケースが多いのではないかと推測します。
また、株分けですが、延命措置というよりは、あくまで人為的にクローンを殖やす、いわば保険のようなものだと思います。
以上、参考になりましたら幸いです。
今後も、命ある限り、ぜひとも大事に見守っていって下さい。
回答日2018年03月05日
u.y.
小林様
とても面倒な質問をしてしまいましたが、大変丁寧にお答えいただき感激いたしました。保全に際して、とても参考になりましたし励みになる内容がたくさんありました。
今では絶滅が危惧される植物は4種に1種くらいの割合とも聞きます。イカリソウ属以外にも保全が試みられるべき種はたくさんあり、その際に繁殖様式などは重要な情報だと今回感じました。一般的な図鑑に記載されるべき情報ではないでしょうから、今回このような機会を得ることができて大変幸運でした。
ありがとうございました。
とても面倒な質問をしてしまいましたが、大変丁寧にお答えいただき感激いたしました。保全に際して、とても参考になりましたし励みになる内容がたくさんありました。
今では絶滅が危惧される植物は4種に1種くらいの割合とも聞きます。イカリソウ属以外にも保全が試みられるべき種はたくさんあり、その際に繁殖様式などは重要な情報だと今回感じました。一般的な図鑑に記載されるべき情報ではないでしょうから、今回このような機会を得ることができて大変幸運でした。
ありがとうございました。
回答日2018年03月05日
回答