八重咲きのダイコンソウでしょうか?
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推察される和名 | ダイコンソウ |
自信度 | ★★★ |
撮影場所 | 佐賀県 / 標高600m 明るい林道脇、スギナが生い茂るスギ林前の小規模な草地に生えていました。 |
撮影日時 | 2018-05-04 |
お花の状態が悪くてすみません。
出来かけのトゲトゲの果実、葉の様子、葉、茎に見られる白い軟毛などからダイコンソウだとは思うのですが、がく片の数が不足していたり、副がく片の形が奇妙です。
※補足
この植物の周辺にはダイコンソウが複数生えていて、内2株は花弁が完全に散って果実になりかけている状態でしたが、通常のダイコンソウでした。
出来かけのトゲトゲの果実、葉の様子、葉、茎に見られる白い軟毛などからダイコンソウだとは思うのですが、がく片の数が不足していたり、副がく片の形が奇妙です。
※補足
この植物の周辺にはダイコンソウが複数生えていて、内2株は花弁が完全に散って果実になりかけている状態でしたが、通常のダイコンソウでした。
塩豆大福
投稿日 | 2018年05月06日 |
最終更新日 | 2019年02月27日 |
閲覧数 | 2,766 Views |
専門家の回答
小林先生(長池公園)
小林先生から回答がありましたので掲載します(事務局)
* * *
種名
ダイコンソウ
確からしさ
★★☆
識別ポイント
全形、葉の形態、雌しべの形状、生育環境
参考図鑑
野に咲く花ほか
コメント
これは珍しい現象ですね。初めて見ました。
貴重な発見のご報告、どうもありがとうございます。
まず、植物の種類ですが、全形から、黄色い花弁を持つバラ科の草本であることがわかります。
下方の葉がダイコンのような形をしていること、軟毛のある茎が立ち上がり分岐していること、熟し始めた雌しべの先端がかぎ状になっていること、などの特徴から、ダイコンソウ属に絞られます。
さらに、葉の形状と托葉の大きさ、生育環境、分布等から、絞り込んでいくと、本属の中では最もポピュラーな「ダイコンソウ」と同定できます。
次に、ダイコンソウの一般的な特徴と異なる部分に注目してみます。
①通常は5枚あるはずの花弁がより多く、八重咲き状になっている。
②萼片が極端に大きく、葉っぱ状に切れ込んでいる。
③花弁がクリーム色がかっている。
④花期が早すぎる。
①はいわゆる八重咲き(重弁咲き)ということになりますが、野生化のダイコンソウではごく稀のようで、私の知る限りでは、品種として発表はされていません。ただし、ダイコンソウ属の園芸種(Geum)では、
チリダイコンソウやアカバナヤエダイコンソウなどの八重咲き品種が知られています。
②は極めて特異的な現象に見えます。通常は、反り返る萼片5枚と、その間から平開する副萼片が5枚の計10枚ある
はずなのですが、これはそれらのうちの4枚が欠損しています。さらに、花から飛び出すほど大きくて目立ちますね。
この部分だけを見ると、大きく葉っぱ状に切れ込んだ副萼片を持つヤブヘビイチゴと見間違えそうです。
・・とはいえ、別属であるヤブヘビイチゴとの属間雑種の可能性は考えにくく、萼片の葉化現象(先祖返り)、あるいは肥大化と見るのが賢明ではないでしょうか。
③花が終盤であることもあると思いますが、通常よりも花色が淡いように見えます。
④通常より、花期が2ヶ月以上も早いことも気になります。
以上の点は、いずれも種としての特徴では無く、個体の変異として捉えられるのではないかというのが私の推論です。
八重咲きや色変わり、花弁・萼・蕊などの欠損や肥大、花期のずれといった、ある種の”奇形的な特徴(異常)”は、同じ個体の中で複数箇所にわたって現れることがしばしばあります。
複数同時におかしな形質が見られる場合には、「何らかの原因で正常ではない姿になっている」という可能性を念頭におきつつ、隅々まで観察されるのが良いと思います。
果実が正常にできるかどうかも重要な手がかりになりますので、ぜひその後の経過も追ってみて下さい。
* * *
種名
ダイコンソウ
確からしさ
★★☆
識別ポイント
全形、葉の形態、雌しべの形状、生育環境
参考図鑑
野に咲く花ほか
コメント
これは珍しい現象ですね。初めて見ました。
貴重な発見のご報告、どうもありがとうございます。
まず、植物の種類ですが、全形から、黄色い花弁を持つバラ科の草本であることがわかります。
下方の葉がダイコンのような形をしていること、軟毛のある茎が立ち上がり分岐していること、熟し始めた雌しべの先端がかぎ状になっていること、などの特徴から、ダイコンソウ属に絞られます。
さらに、葉の形状と托葉の大きさ、生育環境、分布等から、絞り込んでいくと、本属の中では最もポピュラーな「ダイコンソウ」と同定できます。
次に、ダイコンソウの一般的な特徴と異なる部分に注目してみます。
①通常は5枚あるはずの花弁がより多く、八重咲き状になっている。
②萼片が極端に大きく、葉っぱ状に切れ込んでいる。
③花弁がクリーム色がかっている。
④花期が早すぎる。
①はいわゆる八重咲き(重弁咲き)ということになりますが、野生化のダイコンソウではごく稀のようで、私の知る限りでは、品種として発表はされていません。ただし、ダイコンソウ属の園芸種(Geum)では、
チリダイコンソウやアカバナヤエダイコンソウなどの八重咲き品種が知られています。
②は極めて特異的な現象に見えます。通常は、反り返る萼片5枚と、その間から平開する副萼片が5枚の計10枚ある
はずなのですが、これはそれらのうちの4枚が欠損しています。さらに、花から飛び出すほど大きくて目立ちますね。
この部分だけを見ると、大きく葉っぱ状に切れ込んだ副萼片を持つヤブヘビイチゴと見間違えそうです。
・・とはいえ、別属であるヤブヘビイチゴとの属間雑種の可能性は考えにくく、萼片の葉化現象(先祖返り)、あるいは肥大化と見るのが賢明ではないでしょうか。
③花が終盤であることもあると思いますが、通常よりも花色が淡いように見えます。
④通常より、花期が2ヶ月以上も早いことも気になります。
以上の点は、いずれも種としての特徴では無く、個体の変異として捉えられるのではないかというのが私の推論です。
八重咲きや色変わり、花弁・萼・蕊などの欠損や肥大、花期のずれといった、ある種の”奇形的な特徴(異常)”は、同じ個体の中で複数箇所にわたって現れることがしばしばあります。
複数同時におかしな形質が見られる場合には、「何らかの原因で正常ではない姿になっている」という可能性を念頭におきつつ、隅々まで観察されるのが良いと思います。
果実が正常にできるかどうかも重要な手がかりになりますので、ぜひその後の経過も追ってみて下さい。
回答日2018年05月07日
塩豆大福
小林先生、ご丁寧な解説ありがとうございます。
貴重な発見と聞いて素直に嬉しいです^^
お花の状態とタイミングがあってたら尚、良かったのになー・・・
実は周囲に他のダイコンソウの根生葉が草に混じってわさわさ見えていたのですが、その中に花弁が落ちて果実が膨らみかけている株もありました。(後で気付きましたが、こちらも萼片に少し異常がみられました)
平地でもまだ根生葉しか見かけないのに不思議空間です。なかなか遠い場所ではあるのですが、できればこの株の今後の経過、また周囲のダイコンソウの様子も観察していきたいと思います。
「萼片の葉化現象」なんて知りませんでした!またこちらで新たな学習のきっかけを頂き、植物がさらに面白くなりました^^
貴重な発見と聞いて素直に嬉しいです^^
お花の状態とタイミングがあってたら尚、良かったのになー・・・
実は周囲に他のダイコンソウの根生葉が草に混じってわさわさ見えていたのですが、その中に花弁が落ちて果実が膨らみかけている株もありました。(後で気付きましたが、こちらも萼片に少し異常がみられました)
平地でもまだ根生葉しか見かけないのに不思議空間です。なかなか遠い場所ではあるのですが、できればこの株の今後の経過、また周囲のダイコンソウの様子も観察していきたいと思います。
「萼片の葉化現象」なんて知りませんでした!またこちらで新たな学習のきっかけを頂き、植物がさらに面白くなりました^^
回答日2018年05月09日
回答