専門家の回答
小林先生(長池公園)
小林先生(長池公園副園長)から回答がありましたので掲載します(事務局)
***
種名
ユキノシタ
確からしさ
★★★
識別ポイント
花期、葉の形態、走出枝の有無、生育分布
参考図鑑
野に咲く花、山に咲く花、神奈川県植物誌2001、相模原植物誌Ⅰ(相模原市立博物館)、座間市の植物(座間市教育委員会)ほか
コメント
結論から申しますと、お写真の植物はユキノシタで良いと思われます。
よく似たハルユキノシタは、山地渓谷に生える関東では珍しい植物で、仰るとおり座間市ではこれまでに記録がありません。
神奈川県での自生地は丹沢方面や道志川流域などの深山に限られ、丘陵~台地での記録は、相模原市下溝で1950年代に採集された古い標本が残されているのみのようです。
ですから、ご質問の植物がハルユキノシタであるとすれば、大変貴重な記録となります。
(※ただし、ごく稀に山野草として栽培されているものが都市公園や民有地に地植えされ、自生状に生育しているケースもあります。)
ここで、ユキノシタとハルユキノシタを見分けるポイントを改めて整理します。
①花
ユキノシタでは通常、花びらの上3枚に赤い斑点が目立つ特徴があります。
ハルユキノシタの花には赤い斑点が全く見られず、中央付近の黄色い斑点がやや大きくて際立ちます。
しかしながら、ユキノシタは花に赤い斑点がほとんど見られない個体もあり、その場合の区別は容易ではありません。
そこで、花の形態よりも、咲く時期を重視します。
ユキノシタは5月頃から夏まで開花が見られますが、対してハルユキノシタは早春から咲き始め、5月には既に枯れてしまいます。
写真の撮影日が6月ということで、花期はユキノシタと一致します。
②葉
ユキノシタの葉は形態に変異が大きく、表面の色や模様、鋸歯の大きさは様々です。また、裏面も紫色になるものや白色のものまであります。
一方、ハルユキノシタの葉は円形で鋸歯がごく浅く、表面は一様に緑色をしています。例えるなら、大きなチドメグサのような外観です。
ここで注目すべき点は、写真の植物では葉の葉脈に沿って白い模様(斑)が入っていることです。
葉の表面に斑が入るのは、この仲間ではユキノシタのみが持つ特徴です。
web上では、斑入りの葉で“ハルユキノシタ”として紹介されている自生品も見受けられますが、これらの多くはユキノシタの誤りでしょう。
③走出枝
awさまもお気付きのとおり、地上に走出枝が見られる点も、ユキノシタの特徴です。
ハルユキノシタでは、地上に走出枝は無く、地中の根茎が横に這うため、単生状となります。
以上より、ユキノシタと同定させていただきました。
しかし近年、丹沢で、関東近郊では稀なジンジソウが再発見されて話題になった例もあります。
身近な植物でも、今回のように注意深く観察していくことで、思わぬ大発見につながることがあるかもしれませんね。
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種名
ユキノシタ
確からしさ
★★★
識別ポイント
花期、葉の形態、走出枝の有無、生育分布
参考図鑑
野に咲く花、山に咲く花、神奈川県植物誌2001、相模原植物誌Ⅰ(相模原市立博物館)、座間市の植物(座間市教育委員会)ほか
コメント
結論から申しますと、お写真の植物はユキノシタで良いと思われます。
よく似たハルユキノシタは、山地渓谷に生える関東では珍しい植物で、仰るとおり座間市ではこれまでに記録がありません。
神奈川県での自生地は丹沢方面や道志川流域などの深山に限られ、丘陵~台地での記録は、相模原市下溝で1950年代に採集された古い標本が残されているのみのようです。
ですから、ご質問の植物がハルユキノシタであるとすれば、大変貴重な記録となります。
(※ただし、ごく稀に山野草として栽培されているものが都市公園や民有地に地植えされ、自生状に生育しているケースもあります。)
ここで、ユキノシタとハルユキノシタを見分けるポイントを改めて整理します。
①花
ユキノシタでは通常、花びらの上3枚に赤い斑点が目立つ特徴があります。
ハルユキノシタの花には赤い斑点が全く見られず、中央付近の黄色い斑点がやや大きくて際立ちます。
しかしながら、ユキノシタは花に赤い斑点がほとんど見られない個体もあり、その場合の区別は容易ではありません。
そこで、花の形態よりも、咲く時期を重視します。
ユキノシタは5月頃から夏まで開花が見られますが、対してハルユキノシタは早春から咲き始め、5月には既に枯れてしまいます。
写真の撮影日が6月ということで、花期はユキノシタと一致します。
②葉
ユキノシタの葉は形態に変異が大きく、表面の色や模様、鋸歯の大きさは様々です。また、裏面も紫色になるものや白色のものまであります。
一方、ハルユキノシタの葉は円形で鋸歯がごく浅く、表面は一様に緑色をしています。例えるなら、大きなチドメグサのような外観です。
ここで注目すべき点は、写真の植物では葉の葉脈に沿って白い模様(斑)が入っていることです。
葉の表面に斑が入るのは、この仲間ではユキノシタのみが持つ特徴です。
web上では、斑入りの葉で“ハルユキノシタ”として紹介されている自生品も見受けられますが、これらの多くはユキノシタの誤りでしょう。
③走出枝
awさまもお気付きのとおり、地上に走出枝が見られる点も、ユキノシタの特徴です。
ハルユキノシタでは、地上に走出枝は無く、地中の根茎が横に這うため、単生状となります。
以上より、ユキノシタと同定させていただきました。
しかし近年、丹沢で、関東近郊では稀なジンジソウが再発見されて話題になった例もあります。
身近な植物でも、今回のように注意深く観察していくことで、思わぬ大発見につながることがあるかもしれませんね。
回答日2018年07月02日
aw
小林先生
何時もコメントを頂き、有り難うございます。
やはりユキノシタで良いようですね。
ユキノシタの葉にそれほどまで変異が多いというのは、コメントを頂くまで気が付いていなかったように思います。
確かに葉の色の濃淡や斑の有無、鋸歯の大きさに個性があるように思います。
地理的に丹沢の奥地へ出かけるよりは道志川流域に出かける方が用意なので、来春はハルユキノシタを探して見たいと思います。
何時もコメントを頂き、有り難うございます。
やはりユキノシタで良いようですね。
ユキノシタの葉にそれほどまで変異が多いというのは、コメントを頂くまで気が付いていなかったように思います。
確かに葉の色の濃淡や斑の有無、鋸歯の大きさに個性があるように思います。
地理的に丹沢の奥地へ出かけるよりは道志川流域に出かける方が用意なので、来春はハルユキノシタを探して見たいと思います。
回答日2018年07月07日
回答