新しいワシタカ類の見方と識別
まずワシタカ類の表情を見て、彼らとの距離感をチェックする
ワシタカ類と言えば、精悍で獰猛な容姿とは裏腹にとても警戒心が強いというイメージを持たれる方が多いと思います。同時に識別が難しく、個体数や観察できるチャンスが少ないということもあるように感じます。もっぱらの観察機会は、春や秋の良く晴れた日に峠や岬へ出向いて、サシバやハチクマ、ノスリなどのタカ渡りを観察したり、冬期の原野や農地、河川などで越冬するミサゴやチュウヒ、ハヤブサなどを探しに行ったりすることが知られています。しかし実は、夏場だって山地や里山、平地など様々な環境で、繁殖しているワシタカと出会うことができるでしょう。この連載では、そんなワシタカ類に関して、識別と生態などを中心に紹介していきたいと思います。
今回は、各種の識別ポイントを紹介する前に、オオタカを中心にワシタカ類の表情の読み取り方や雌雄の差などについてご紹介したいと思います。
トビやノスリと言った数が多い種類以外のワシタカ類はじっくりと観察することは難しいものです。見つけてもすぐに逃げられてしまった、遠方を飛んでいて中々近くでは見られないといった経験をお持ちの方も多いはずです。彼らはとても用心深く、観察されることを極端に嫌います。ただし、彼らは四六時中警戒して生活しているわけではありません。観察する人(自分にとって脅威)とそうでない人(自分を無視する人)をしっかりと見分け、人がいる環境の中でも適応して生活しているようです(写真1)。こちらが気づいてないだけで、時には思いがけない程近くでハンティングを行っていることや、じっと梢の中で休息していることもあるでしょう。我々が思っている以上に実はとても身近で生活しています。
写真1 歩道のすぐそばで餌を探すオオタカ雄成鳥 3月 愛知県
タカの表情を読んでみよう
今見ているタカが、何という種類なのか? それを見分けることももちろん面白いのですが、その個体が何を感じているのか? それが少しでもわかると観察の内容が一気に豊かになるでしょう。また、なにより正しい距離で観察することがお互いにとって重要であることは言うまでもありません。ではどのように判断すればいいのでしょうか。その「表情」の違いを見てみましょう。
写真2 オオタカ雄成鳥。休息中でリラックスしている (3月/岐阜県)
写真3 オオタカ雄成鳥。羽毛をピタッと寝かせてとても細く見える。警戒中(2月/愛知県)
2枚の写真は共にオオタカ雄成鳥なのですが、羽毛の状態の違いにご注目下さい。写真2は、狩りの合間に林の中で休息している所です。一方写真3は餌を探していたのに、観察者(つまり私)が現れた為に警戒し、いつ逃げるべきか思案している場面です。
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