イネ科も難しいですが、これ教えてもらえますか?
いいね!
推察される和名 | ミヤマドジョウツナギ |
自信度 | ★☆☆ |
撮影場所 | 長野県 / 木曽駒ケ岳千畳敷 |
撮影日時 | 2013-08-03 |
高山ではもう疲れてて一つだけ写真を撮って帰ってきてしまうことが多くて。
すいません、写りも良くないのですが、もしわかれば、教えてください!
すいません、写りも良くないのですが、もしわかれば、教えてください!
ふゆき
投稿日 | 2018年09月24日 |
最終更新日 | 2019年03月05日 |
閲覧数 | 3,497 Views |
専門家の回答
小林先生(長池公園)
小林先生(長池公園副園長)から回答がありましたので、掲載します(事務局)
***
種名
ミヤマドジョウツナギ
確からしさ
★★☆
識別ポイント
生育環境、分布、全形、小穂の形態
参考図鑑
高山に咲く花、増補日本イネ科植物図譜(平凡社)、信州高山高原の花(信濃毎日新聞社)ほか
コメント
すでにFeさんがお答えのように、写真の植物は「ミヤマドジョウツナギ」ではないでしょうか。(※名前が似ているミヤマイチゴツナギと混同しないよう、ご注意下さい。)
本種は、亜高山帯の樹林下や林縁ではもっとも目に付くイネ科植物の一つです。
種類の多いイネ科で、しかも全形写真1枚だけが手がかりということで、同定が難しいのはふゆきさまの仰るとおりです。
しかしながら、千畳敷カールという特殊な環境であることや、全形から読み取れるいくつかの外見的な特徴が大きなヒントとなります。
まず、撮影地が長野県木曽駒ヶ岳千畳敷(標高約2600m)ということに注目してみましょう。
標高から見ると亜高山~高山ということになり、平地~低山で見られるイネ科植物とは異なる可能性が高いですね。
「高山に咲く花」の434頁には、“(イネ科植物は)いくつかの亜科や連に分類されるが,高山植物はいずれもイチゴツナギ亜科に含まれる。”との
重要な記述があります。つまり、膨大なイネ科の中から、ひとまずはイチゴツナギ亜科の植物に絞り込んでも良いというわけです。
次に、大きさに注目します。登山者用ロープ(?)や周囲のナナカマドから相対的に推測すると、かなり大型であるように見受けられます。
少なくとも膝の高さ以上はありそうです。草丈が50cm~1mともなれば、亜高山~高山性のイネ科植物ではかなり種類が限られてきます。
写真の植物と似たような雰囲気のもので、高さ50cm以上となる種類に絞ってみますと、
イチゴツナギ属のハクサンイチゴツナギ、イブキソモソモ、ドジョウツナギ属のミヤマドジョウツナギ、カラフトドジョウツナギなどが候補となります。
ヤマアワ属やヌカボ属も一見似ていますが、これらの属の特徴である“一つの小穂に一つの小花が付く”点が、写真の植物には当てはまりません。
さて、ここまでの手順で、イネ科イチゴツナギ亜科の大型種で亜高山~高山性の種類、というところまで絞り込めました。
ここから先は形態・分布・生態などの特徴を一つずつ図鑑と照合してみたいと思います。
写真の植物から読み取れる情報を整理すると以下のようになります。(※部位の用語等は各種図鑑類の解説を参照して下さい。)
・長野県の木曽駒ヶ岳に分布する。
・亜高山~高山の登山道沿いに生育する。(水湿地ではなさそう。)
・草丈は大きく、葉身も長くて幅広い。
・円錐花序は一方に傾いている。(花序枝は節から2本ずつ出ているように見え、いずれも垂れ下がっている。)
・小穂は細長く、花序の枝に沿って付いている。
・小花は小穂に多数付き、表面は紫色を帯びている。
以上のポイント、特に生育環境と紫色がかった小穂の外観から、ミヤマドジョウツナギと推察した次第です。(※断定まではできません。)
webサイトや図鑑の写真は開花ピークのものが多く、少し印象が違って見えるかもしれませんが、いかがでしょうか?
なお、コメント欄で、ヤクナガイヌムギ(=国内でノゲイヌムギとされてきたもの)の名前も候補に挙がっていますが、
イヌムギ類は平地性で、亜高山~高山ではほとんど見ることがありません。
また、形態的には、全体が緑色で、花序枝は太くてしっかりしており、小穂もより大型で扁平なことなどの特徴があります。
***
種名
ミヤマドジョウツナギ
確からしさ
★★☆
識別ポイント
生育環境、分布、全形、小穂の形態
参考図鑑
高山に咲く花、増補日本イネ科植物図譜(平凡社)、信州高山高原の花(信濃毎日新聞社)ほか
コメント
すでにFeさんがお答えのように、写真の植物は「ミヤマドジョウツナギ」ではないでしょうか。(※名前が似ているミヤマイチゴツナギと混同しないよう、ご注意下さい。)
本種は、亜高山帯の樹林下や林縁ではもっとも目に付くイネ科植物の一つです。
種類の多いイネ科で、しかも全形写真1枚だけが手がかりということで、同定が難しいのはふゆきさまの仰るとおりです。
しかしながら、千畳敷カールという特殊な環境であることや、全形から読み取れるいくつかの外見的な特徴が大きなヒントとなります。
まず、撮影地が長野県木曽駒ヶ岳千畳敷(標高約2600m)ということに注目してみましょう。
標高から見ると亜高山~高山ということになり、平地~低山で見られるイネ科植物とは異なる可能性が高いですね。
「高山に咲く花」の434頁には、“(イネ科植物は)いくつかの亜科や連に分類されるが,高山植物はいずれもイチゴツナギ亜科に含まれる。”との
重要な記述があります。つまり、膨大なイネ科の中から、ひとまずはイチゴツナギ亜科の植物に絞り込んでも良いというわけです。
次に、大きさに注目します。登山者用ロープ(?)や周囲のナナカマドから相対的に推測すると、かなり大型であるように見受けられます。
少なくとも膝の高さ以上はありそうです。草丈が50cm~1mともなれば、亜高山~高山性のイネ科植物ではかなり種類が限られてきます。
写真の植物と似たような雰囲気のもので、高さ50cm以上となる種類に絞ってみますと、
イチゴツナギ属のハクサンイチゴツナギ、イブキソモソモ、ドジョウツナギ属のミヤマドジョウツナギ、カラフトドジョウツナギなどが候補となります。
ヤマアワ属やヌカボ属も一見似ていますが、これらの属の特徴である“一つの小穂に一つの小花が付く”点が、写真の植物には当てはまりません。
さて、ここまでの手順で、イネ科イチゴツナギ亜科の大型種で亜高山~高山性の種類、というところまで絞り込めました。
ここから先は形態・分布・生態などの特徴を一つずつ図鑑と照合してみたいと思います。
写真の植物から読み取れる情報を整理すると以下のようになります。(※部位の用語等は各種図鑑類の解説を参照して下さい。)
・長野県の木曽駒ヶ岳に分布する。
・亜高山~高山の登山道沿いに生育する。(水湿地ではなさそう。)
・草丈は大きく、葉身も長くて幅広い。
・円錐花序は一方に傾いている。(花序枝は節から2本ずつ出ているように見え、いずれも垂れ下がっている。)
・小穂は細長く、花序の枝に沿って付いている。
・小花は小穂に多数付き、表面は紫色を帯びている。
以上のポイント、特に生育環境と紫色がかった小穂の外観から、ミヤマドジョウツナギと推察した次第です。(※断定まではできません。)
webサイトや図鑑の写真は開花ピークのものが多く、少し印象が違って見えるかもしれませんが、いかがでしょうか?
なお、コメント欄で、ヤクナガイヌムギ(=国内でノゲイヌムギとされてきたもの)の名前も候補に挙がっていますが、
イヌムギ類は平地性で、亜高山~高山ではほとんど見ることがありません。
また、形態的には、全体が緑色で、花序枝は太くてしっかりしており、小穂もより大型で扁平なことなどの特徴があります。
回答日2018年09月25日
ふゆき
小林先生、ありがとうございます!ハチオウジアザミの長池公園の先生なのですね。同定の仕方、とても勉強になります。図鑑は確かに最盛期のものが多くて、若い個体のイネ科って、わからないんです。これから少し勉強するようにします!
回答日2018年09月26日
回答
Fe
難しいですが、ミヤマドジョウツナギGlyceria alnasteretumはどうでしょうか。
個人的な判断ポイントとしては・・・
・花序の先端が垂れ下がる
・花序の節から1~3本の枝が伸び、各枝の小穂はまばら
・小穂が紫色を帯び、4~7小花から成っているように見える
・葉の幅は5mm以上、10mm以下くらいに見える
・葉舌は長くなさそう
・生育環境は湿地ではなさそう
です。
同属のヒロハドジョウツナギやカラフトドジョウツナギは、節当たりの花序枝の数が多く、花序に小穂がより密に着くと思います。
小穂の形状からは、イチゴツナギ属、ウシノケグサ属、スズメノチャヒキ属なども考えましたが、調べた限りでは該当しそうな種を見つけられなかったです。
個人的な判断ポイントとしては・・・
・花序の先端が垂れ下がる
・花序の節から1~3本の枝が伸び、各枝の小穂はまばら
・小穂が紫色を帯び、4~7小花から成っているように見える
・葉の幅は5mm以上、10mm以下くらいに見える
・葉舌は長くなさそう
・生育環境は湿地ではなさそう
です。
同属のヒロハドジョウツナギやカラフトドジョウツナギは、節当たりの花序枝の数が多く、花序に小穂がより密に着くと思います。
小穂の形状からは、イチゴツナギ属、ウシノケグサ属、スズメノチャヒキ属なども考えましたが、調べた限りでは該当しそうな種を見つけられなかったです。
回答日2018年09月25日
ふゆき
Feさん、変なノギクに続き、ありがとうございます。
いつもこんな一枚の写真から絞って頂き、感心してしまいます。
私もそれくらいの洞察力や知識があれば・・・と思わずリスペクトです。
今回もとても納得のご説明でした!
今後ともよろしくお願いいたします。
いつもこんな一枚の写真から絞って頂き、感心してしまいます。
私もそれくらいの洞察力や知識があれば・・・と思わずリスペクトです。
今回もとても納得のご説明でした!
今後ともよろしくお願いいたします。
回答日2018年09月26日