オオバノハチジョウシダ?orオオバノアマクサシダ?
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推察される和名 | オオバノハチジョウシダ |
自信度 | ★★☆ |
撮影場所 | 山口県 / 山口県美祢市美東町秋吉台の湿った林床(林縁といえば林縁)です。 |
撮影日時 | 2018-01-02 |
ピンボケの写真で申し訳ありません。
分布的にタイトルに示したどちらかだと思うのですが、今一判断が付きません。
従来の図鑑では、「側羽片の先端部が尾状になり、側羽片の上側には小羽片を付けないか不規則に少数付け、葉の全体がやや小型のもの」が変種のオオバノアマクサシダとあります。
しかし、「日本産シダ植物標準図鑑」では、「有性生殖型がオオバノハチジョウシダで、無融合生殖型がオオバノアマクサシダで、有性生殖型の方が頂羽片が小さく最大の側小羽片よりも小さい」とあります。
この写真のものは、(本当に肝心の頂羽片が写った写真がピンボケで申し訳ありませんが)、従来の基準では、側羽片の上側に小羽片があるので「オオバノハチジョウシダ」、新しい図鑑の基準では頂羽片がある程度大きいので「オオバノアマクサシダ」という風に理解してよろしいでしょうか?
ちなみに、有性生殖型と無融合生殖型というのは、胞子等を観察すれば分かるものなのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
分布的にタイトルに示したどちらかだと思うのですが、今一判断が付きません。
従来の図鑑では、「側羽片の先端部が尾状になり、側羽片の上側には小羽片を付けないか不規則に少数付け、葉の全体がやや小型のもの」が変種のオオバノアマクサシダとあります。
しかし、「日本産シダ植物標準図鑑」では、「有性生殖型がオオバノハチジョウシダで、無融合生殖型がオオバノアマクサシダで、有性生殖型の方が頂羽片が小さく最大の側小羽片よりも小さい」とあります。
この写真のものは、(本当に肝心の頂羽片が写った写真がピンボケで申し訳ありませんが)、従来の基準では、側羽片の上側に小羽片があるので「オオバノハチジョウシダ」、新しい図鑑の基準では頂羽片がある程度大きいので「オオバノアマクサシダ」という風に理解してよろしいでしょうか?
ちなみに、有性生殖型と無融合生殖型というのは、胞子等を観察すれば分かるものなのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
yamasyoku
投稿日 | 2018年02月06日 |
最終更新日 | 2019年03月05日 |
閲覧数 | 4,951 Views |
専門家の回答
小林先生(長池公園)
小林健人先生(長池公園副園長)からの回答が届きましたので投稿します(事務局)
******
種名:オオバノハチジョウシダ
確からしさ★★☆
識別ポイント :頂小羽片の長さ(参考)
参考図鑑:日本産シダ植物標準図鑑Ⅰ(小学館)
**
残念ながら関東近郊をフィールドとする私は、オオバノアマクサシダの生きた実物を見たことがないのですが、ここでは図鑑解説の読み解き方に関してコメントさせていただきます。
まず、参考図鑑では、これまでオオバノハチジョウシダと一括りにしてきた種のうち、2倍体有性生殖型をオオバノハチジョウシダ、2倍体・3倍体無融合種子生殖型をオオバノアマクサシダ(広義)として定義しています。
無融合種子生殖型のうち、オオバノアマクサシダ(狭義)については、アマクサシダに似て側羽片上側に小羽片が疎らであるか殆ど発達しないことで区別されてきました。
問題は、オオバノアマクサシダ(広義)のうち、有性生殖型のオオバノハチジョウシダと外見上の違いが微妙な個体の同定ポイントです。
yamashokuさまが仰るように、参考図鑑の解説と形態比較表には、成個体であることを前提として、これらを見分ける目安となる注目点が記述されています。
その概略は、「無融合種子生殖型では、側羽片の頂小羽片が、側小羽片と比べて著しく長い。」というものです。
はじめに、用語の指し示す部位を再確認すると、2回羽状全裂である本種の場合、「側羽片」は葉軸から横に出ている部分の全体、「頂小羽片」は側羽片の最も先端にある小羽片一枚、「側小羽片」は頂小羽片以外の小羽片全てを差しています。
注目すべきは、「側羽片の先端一枚がそれ以外よりも著しく長いかどうか」ということです。
葉身先端の羽片のことを差す「頂羽片」については、ここでは識別点として表記されていないことになりますのでご注意下さい。
写真の個体は、1枚目の全形だけを見ると、オオバノハチジョウシダとして良さそうですが、アップの部分では確かに頂小羽片がやや長めですね。
そこで、参考図鑑の図版を参照すると、頂小羽片の長さは側小羽片の3~4倍以上あることがわかります。
もしこの長さがスタンダードであるとすると、写真のものは「著しく長い」とは言い難く、オオバノハチジョウシダの範疇とするのが自然でしょう。
しかしながら、写真を見る限り、この個体は一般的なオオバノハチジョウシダと比較して標準よりもやや小型であることから、安易にオオバノハチジョウシダ、あるいはオオバノアマクサシダとして断定するのは避けるべきではないかと思います。
参考図鑑にも書かれているように、検鏡して胞子数を確認するか、特徴が明瞭な成個体を探して最終的な判断を下されることを推薦致します。
以上、長くなりましたが、ご参考まで。私も勉強になりました。ありがとうございます。
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種名:オオバノハチジョウシダ
確からしさ★★☆
識別ポイント :頂小羽片の長さ(参考)
参考図鑑:日本産シダ植物標準図鑑Ⅰ(小学館)
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残念ながら関東近郊をフィールドとする私は、オオバノアマクサシダの生きた実物を見たことがないのですが、ここでは図鑑解説の読み解き方に関してコメントさせていただきます。
まず、参考図鑑では、これまでオオバノハチジョウシダと一括りにしてきた種のうち、2倍体有性生殖型をオオバノハチジョウシダ、2倍体・3倍体無融合種子生殖型をオオバノアマクサシダ(広義)として定義しています。
無融合種子生殖型のうち、オオバノアマクサシダ(狭義)については、アマクサシダに似て側羽片上側に小羽片が疎らであるか殆ど発達しないことで区別されてきました。
問題は、オオバノアマクサシダ(広義)のうち、有性生殖型のオオバノハチジョウシダと外見上の違いが微妙な個体の同定ポイントです。
yamashokuさまが仰るように、参考図鑑の解説と形態比較表には、成個体であることを前提として、これらを見分ける目安となる注目点が記述されています。
その概略は、「無融合種子生殖型では、側羽片の頂小羽片が、側小羽片と比べて著しく長い。」というものです。
はじめに、用語の指し示す部位を再確認すると、2回羽状全裂である本種の場合、「側羽片」は葉軸から横に出ている部分の全体、「頂小羽片」は側羽片の最も先端にある小羽片一枚、「側小羽片」は頂小羽片以外の小羽片全てを差しています。
注目すべきは、「側羽片の先端一枚がそれ以外よりも著しく長いかどうか」ということです。
葉身先端の羽片のことを差す「頂羽片」については、ここでは識別点として表記されていないことになりますのでご注意下さい。
写真の個体は、1枚目の全形だけを見ると、オオバノハチジョウシダとして良さそうですが、アップの部分では確かに頂小羽片がやや長めですね。
そこで、参考図鑑の図版を参照すると、頂小羽片の長さは側小羽片の3~4倍以上あることがわかります。
もしこの長さがスタンダードであるとすると、写真のものは「著しく長い」とは言い難く、オオバノハチジョウシダの範疇とするのが自然でしょう。
しかしながら、写真を見る限り、この個体は一般的なオオバノハチジョウシダと比較して標準よりもやや小型であることから、安易にオオバノハチジョウシダ、あるいはオオバノアマクサシダとして断定するのは避けるべきではないかと思います。
参考図鑑にも書かれているように、検鏡して胞子数を確認するか、特徴が明瞭な成個体を探して最終的な判断を下されることを推薦致します。
以上、長くなりましたが、ご参考まで。私も勉強になりました。ありがとうございます。
回答日2018年02月07日
yamasyoku
小林先生、ご丁寧な解説、誠にありがとうございます。
用語の解説までありがとうございます。お察しのとおり、頂羽片と頂小羽片を完全に間違っておりました(;^_^A
確かに、頂小羽片が「著しく」は長くないですね。しかし、サイズについては一般のオオバノハチジョウシダより小型とのことですが、山口や島根で見た個体のほとんどは、この程度のサイズだった様な気もします。
次回現場で見る際は、お教えいただいたポイントを確認しながら、何個体か見てみようと思います。
ありがとうございました!
用語の解説までありがとうございます。お察しのとおり、頂羽片と頂小羽片を完全に間違っておりました(;^_^A
確かに、頂小羽片が「著しく」は長くないですね。しかし、サイズについては一般のオオバノハチジョウシダより小型とのことですが、山口や島根で見た個体のほとんどは、この程度のサイズだった様な気もします。
次回現場で見る際は、お教えいただいたポイントを確認しながら、何個体か見てみようと思います。
ありがとうございました!
回答日2018年02月07日
回答