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短期連載 その羽は誰のもの? -野鳥の羽観察のキホン

第2回 よく拾う羽を環境別に紹介!【都市公園・山や森林公園編】

2018-07-11

みなさまこんにちは!羽を集めている新谷亮太です。

今回のコラムではよく拾う羽を環境別に10種ずつリストアップしようと思います!ただし今回のリストは統計などを取っているわけではなく、私の感覚だけで決めています。

『原寸大 羽図鑑』と私のコレクションを合わせてご紹介します。

 

なお、羽のリストは首都圏とその周辺でのイメージとなります。

都市公園は都内の公園や葛西臨海公園など。
山や森林公園は高尾山や宮ヶ瀬ダム周辺など。
海岸や干潟は湘南や三番瀬などのイメージです(次回)。

 

 

都市公園でよく拾える羽

ハシブトガラス、ハシボソガラス

カラスの羽はたくさん落ちていて大きくて目立ちます。ただ羽でこの2種の識別はかなり大変なので私は普段から諦めています()。風切などは大きさでも識別できるので『原寸大写真図鑑 羽』を活用しましょう。

キジバト、ドバト

ドバトの色彩はバリエーションに富んでいるので、羽に慣れるまでは識別が大変かもしれません。しかし根元がやけにモコモコしている羽を拾うとだいたいハトです。

ハシブトガラス

原寸大図鑑羽

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ハシボソガラス

原寸大図鑑羽

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ドバト

原寸大図鑑羽

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ドバトコジュケイ
▲左からドバト、コジュケイ、ヒレンジャク、アオゲラ、オオコノハズクの体羽など。
ドバトを含むハト類は羽軸が太く見え、➡で記した根元のモコモコした部分(羽糸)の密度が高いのか特徴です。

 


ヒヨドリ

よく落ちていますがこれと言った特徴がないため非常に説明しにくいです…。下尾筒という部位の羽はかなり特徴的な模様なので覚えておくといいですよ!

ムクドリ

黒くて小さめな風切が落ちていたらだいたいムクドリかツバメですが、ツバメは拾う頻度が少なめです。尾羽の模様が特徴的なので覚えておきましょう。

カルガモ

池がある公園なら簡単に拾えます。同じ池にバンやカイツブリがいても、それらの羽は何故か拾ったことがないです。

ヒヨドリ

原寸大図鑑羽

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ムクドリ

原寸大図鑑羽

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カルガモ

原寸大図鑑羽

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オオタカ

風切や尾羽はあまり落ちていません。いつも拾うのは体羽ばかりです。

シロハラ、ツグミ

冬のみですが、本当によく落ちています。シロハラは外弁がオリーブ色をしていて、ツグミはヒヨドリの羽をもっと茶色くした感じです。

オオタカ

原寸大図鑑羽

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シロハラ

原寸大図鑑羽

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ツグミ

原寸大図鑑羽

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シジュウカラやメジロは都市公園に多く生息しているので羽もよく落ちている、という事はなく、羽自体が小さいので落ちていても発見するのがかなり難しいです。必ずしも いっぱいいる鳥=よく羽を拾う ではない事は理解しておいてください。

その他よく拾う羽は、アクセサリーや毛ばたきなどから落ちたニワトリやダチョウの羽ですね。

 

羽がよく落ちているポイント

 

羽のよく落ちているポイント
▲公園内の道沿い。落ち葉などが少なく、羽が落ちていると目立ちます。

 

羽のよく落ちているポイント
▲池の排水口、またはゴミがたまる箇所


カモやサギの羽が貯まっていることが多いです。冬場など何種類ものカモ類がいる環境では、体羽での識別が難しいので同定には注意しましょう。

 

山や森林公園でよく拾える羽

アオゲラ、アカゲラ

お互いに独特な模様をしているので拾った瞬間に種類がひらめくと思います。ただし、アカゲラとオオアカゲラの羽の識別はおそらく無理です…。


トラツグミ

季節問わずかなり落ちています。

アオゲラ

原寸大図鑑羽

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アカゲラ

原寸大図鑑羽

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トラツグミ

原寸大図鑑羽

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ガビチョウ

風切はツグミを小さくしたような感じ、尾羽は長めで横縞模様が入っていて特徴が出ているのですが、主要な羽図鑑である『原寸大写真図鑑 羽』(文一総合出版)と『決定版 日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社)には掲載されていないので注意。


ガビチョウ
▲ガビチョウの尾羽(左側2)と次列風切(中2枚)、初列風切(右側4枚)。風切はツグミに似ているが小さい、慣れていないと識別は難しい。(写真提供:犬丸瑞枝)

 

 

フクロウ、オオコノハズク

フクロウの風切は大きくてよく目立ち、体羽も大きくふわふわしているので自己主張が激しい感じに落ちていることが多いです。オオコノハズクは林道の街灯下などで体羽だけを拾うことが多いので、夜中に大きな虫を獲っているときに抜け落ちているのでは、と思っています。

フクロウ

原寸大図鑑羽

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オオコノハズク

原寸大図鑑羽

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フクロウの羽
▲フクロウの下尾筒付近の羽。
他の鳥と比べて根元がふわふわしている。そのためか雑草に絡みついていることが多く、よく目立つ。

 

ヤマドリ

姿は見えなくても羽はかなり落ちています。雄と雌で模様が違うので注意!

アオバト

黄緑~黄色の体羽や、特徴的な模様の下尾筒を拾う事が多いです。初列風切はほとんどまっ黒なため、拾ってもアオバトを連想するのは難しいかも。 

ヤマドリ

原寸大図鑑羽

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アオバト

原寸大図鑑羽

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図鑑jpの質問・投稿掲示板に分かりやすいアオバトの下尾筒の写真が投稿されてました。まさにアオバトですね。


(メガネさんの投稿 https://i-zukan.jp/posts/119

 

尾羽や下尾筒は緑色がはっきりしているのに対し、初列風切は真っ黒なのが分かります。

 

カッコウ類

初列風切はチョウゲンボウ、次列風切はなんとなくハトっぽい、そんな感じの羽です。基本的には立派な白斑がいっぱい入っているのでカッコいいです。尾羽は独特な模様をており、他に似ている種類はいません。ただしカッコウ、ツツドリ、ホトトギスの識別は困難。個人的には山ではツツドリの羽を拾う機会が多いと感じています。

カッコウ

原寸大図鑑羽

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ツツドリ

原寸大図鑑羽

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各種はね
▲左側3枚が初列風切、右側3枚が尾羽。共に左からチョウゲンボウ、カッコウ、ツツドリ。
チョウゲンボウとカッコウ類の初列風切は大きさも模様も似ていますね。


カケス

雨覆はとても綺麗な模様をしていますが、羽自体が小さいため見つけるのは難しいです。風切はよく落ちています。

カケス

原寸大図鑑羽

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ヒタキ類の雌やムシクイ類なども羽を拾う事が多々あるのですが、識別できないので諦めるしかないです…。

 

羽がよく落ちているポイント

羽のよく落ちているポイント
▲林道や車道がある場合はその両脇に落ちていることが多い。


羽のポイント
▲森の中で散乱していたシジュウカラの羽。このように小さな羽は落ち葉などに紛れてしまい本当に目立たず、発見は困難。 

 


次回は3つ目の環境「海岸や干潟」でよく見られる羽をご紹介します。

 

 

新谷亮太(しんや・りょうた)

週末に鳥見に行き家では羽をいじる、鳥見歴20年ほどのアラサー会社員。約500種類ほどの羽を所持しているが、正確な数字は不明。年に1~2回は海外へ行って鳥見を楽しんでいる。ツイッターで羽の写真を上げている人がいたらそれは私かもしれない。

https://birdfeatherssite.wordpress.com/ 

 

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