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短期連載 その羽は誰のもの? -野鳥の羽観察のキホン

第3回 よく拾う羽を環境別に紹介!【海岸や干潟編】

2018-08-13

みなさまこんにちは!羽コレクターの新谷亮太です。

前回の都市公園、森林に続き、今回のコラムでは海岸や干潟でよく拾う羽をリストアップしました。湘南海岸や三番瀬などの、関東の海岸をイメージしています。

 

海岸や干潟でよく拾える羽

ウミネコなどのカモメ類

ウミネコの尾羽や、ユリカモメとミツユビカモメの初列風切は分かりやすいですが、それ以外は難しいです。幼鳥と成鳥で羽の模様が異なるので注意。

ウミネコ

ウミネコの羽

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ユリカモメ

ユリカモメ

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ミツユビカモメ

ミツユビカモメの羽

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オオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ 

死体が漂着して、海岸に打ちあがることも多く、そこで餌として食べられた後に羽が散らばることも。オオミズナギドリは白色と黒色の模様がきれいに分かれていて比較的わかりやすいですが、ハシボソミズナギドリの羽は特徴らしい特徴がないので口では説明しにくいです…。

オオミズナギドリ
▲オオミズナギドリの羽。左から尾羽、次列風切、初列風切。

内弁基部の白色が目立つのが特徴。
〇で囲っているのはオオミズナギドリの特徴とも言える下雨覆の模様、これもよく落ちています。ちなみに『原寸大写真図鑑 羽』には掲載されていない部位です!

オオミズナギドリ

オオミズナギドリの羽

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ハシボソミズナギドリ

ハシボソミズナギドリ

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カワウ、ウミウ

緑光沢があって綺麗な羽ですが、海岸に落ちているものは摩耗して茶色くなっているものも多くて最初は戸惑います。両種の識別は困難。

カワウ

カワウの羽

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ウミスズメ類

よく初列風切が落ちていますが基本的にまっ黒な羽で地味です。
一応部位が分かれば(初列風切の何枚目かなど)計測値である程度は絞ることができますが、実際問題難しいです。


▲ハシブトウミガラスの初列風切、次列風切、尾羽を2枚ずつ。
ウミガラスとハシブトウミガラスのみ次列風切先端に白色部があり識別が容易!

ウミガラス

ウミガラス

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ハシブトウミガラス

ハシボトウミガラスの羽

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アビ類

春先の海岸はアビ類の羽ばっかりということもしばしば。羽軸が長くて特徴的な風切なので「アビ類」というところまではいけるのですが、基本的に地味なのでそこから先の種類の識別は困難。どのくらい羽軸が長いかは『原寸大写真図鑑 羽』のページを見てください!

オオハム

オオハムの羽

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スズガモ

白い翼帯が入っていて素敵な風切です。海岸ではスズガモ、カルガモ、オナガガモの羽をよく見かけます。たまにウミアイサなども落ちています。

 

トビ

茶色地に白色の鷹斑模様が入っていて、明らかに猛禽類という感じです。大きいため、海岸に落ちていると目立ちます。

スズガモ

スズガモの羽

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アオサギ

大きな青灰色の初列風切が落ちているとかなり目立ちます。
ダイサギやコサギと思われる羽もよく落ちていますが、真っ白すぎてなにがなんだか… 

アオサギ

アオサギの羽

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ダイサギ

ダイサギの羽

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コサギ

コサギの羽

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ウミツバメ類

春~夏の海岸で見かける事が多いですが、特徴がないので何も言えないです…。
ミズナギドリ類の風切をそのまま小さくしたような印象なのですが、ここら辺の識別は経験値が問われます。

ウミツバメ
▲ウミツバメ類の初列風切。
羽の大きさや時期などからアシナガウミツバメだとは思うものの、そこから先へは進めません…。羽単品での識別の限界を感じます。


▲アシナガウミツバメの羽。『原寸大写真図鑑 羽』に掲載されていないので載せておきますね。
尾羽(左下)に独特な白色部があるのが特徴ですが、他の羽は真っ黒で地味ですね。

コシジロウミツバメ

コシジロウミツバメ

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クロコシジロウミツバメ

クロコシジロウミツバメの羽

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基本的に海鳥の羽は地味な物が多く、識別が難しいものばかりです。最初は拾っても何の仲間なのかすら見当つかない事も多いと思いますので、そんな時は素直に諦めるか、羽に詳しい人に聞きましょう。

また干潟には色々なシギチがいますよね。ハマシギ、ダイゼン、ミヤコドリあたりの羽はよく拾いますが、それ以外はあまり落ちていなくて、識別も困難です。

ハマシギ

ハマシギ

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ミヤコドリ

ミヤコドリの羽

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羽がよく落ちているポイント!


▲満潮時に漂着物が溜まるライン
この漂着物ラインに沿って歩いていれば何かしらの羽が落ちています。



▲漂着物に紛れるカワウの尾羽
羽を認識できるようになると、本当にたくさんの羽が落ちていることに気付くと思います!

 

さあ、羽を探してみよう!

羽を拾ったら上記の環境別リストを見て『原寸大写真図鑑 羽』で当たりを付けるのがいいと思います。大体は当たっているのではないのかなー…と思っているのですが、関東以外の環境(特に北海道、沖縄)では結構な差異がありそうですね。
それでもわからなければ図鑑jpの質問掲示板に投稿しましょう!可能な限り私も回答していきます!

 

 

新谷亮太(しんや・りょうた)

週末に鳥見に行き家では羽をいじる、鳥見歴20年ほどのアラサー会社員。約500種類ほどの羽を所持しているが、正確な数字は不明。年に1~2回は海外へ行って鳥見を楽しんでいる。ツイッターで羽の写真を上げている人がいたらそれは私かもしれない。

https://birdfeatherssite.wordpress.com/ 

 


 『原寸大図鑑 羽』は、図鑑jpの野鳥コースまたは全ジャンルコースでご覧いただけます

原寸大図鑑

 

『原寸大図鑑 羽』

著/高田 勝・叶内 拓哉 文一総合出版

273種の鳥の羽を1種ごとに風切、尾羽など複数の種類の羽を掲載し、特徴について解説。
書籍版では原寸表示だが、本電子版ではスケールを入れて対応。 書籍版のポスターも付録としてに収録しています。
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