春のスミレキャンペーン
「日本のスミレ類早見表」使ってみました
事務局Tです。
4月上旬のある日、「日本のスミレ類早見表」と「増補改訂 日本のスミレ」を使って本当にスミレが同定できるのか検証してきました。
正直なところ、これまで「スミレはスミレ」と同定を放棄していました。
「写真を撮って後で調べよう」とは思うのですが、そもそもどこを撮れば良いのか……。
そんな「スミレ初心者」にして、苦手意識のある私ですが、果たして同定できるのでしょうか。
* * * * *
ということで、私が送り込まれた先は、日本一登山者が多いという東京都八王子市の高尾山。
冷温帯と暖温帯の境に位置し、見られる植物の種類が多いことでも有名です。
早速行ってみましょう
■とにかく使ってみましょう
歩き始めてすぐにスミレのなかまを発見しました。
調べてみます
早見表はプリントアウトして持っていきました
上から順番にチェックしてみます。
当てはまらないところには「×」を入れていきます。
花は「白」くて、大きさが「100円玉」くらい
葉は「披針形」かな?
托葉は「葉柄に沿着」? 「縁に毛状の突起がある」も当てはまりそう……。ひとまず両方残します
※托葉は葉を指で抑えると見やすかったです。
地上茎は「無茎」、生え方は「つけねは地上」でしょうか?
最後は一番不安な柱頭です。
「カマキリ形」のような気がします…
ちょっと不安が残りますが、ひとまず一通りチェックできました。
「ミヤマスミレ類」には×がつきませんでした。
最終的には、こんな感じでした
「増補改訂 日本のスミレ」p124〜195を見てみます(ミヤマスミレ類多い……)。
5分くらい図鑑と睨めっこしました。
花の色や、葉の形で見ると「ヒカゲスミレ」が近いです。
葉が茶色っぽくなる変異があるそうですが、これも当てはまります。
ヒカゲスミレで良いでしょう!
なんとか見つけることができました!
■振り返りざまに2種類目発見
ヒカゲスミレの観察を終えて振り返ると、石垣に2種類目のスミレが生えていました。
見たことあるような気がします
同じようにして、スミレ類早見表で調べてみましょう。
花は薄い「青紫色」で、「100円玉」くらい
葉は「心形」
地上茎は「有茎」、托葉は「櫛の歯状」が近いでしょうか
柱頭は「ほぼまっすぐ」?
タチツボスミレ類でした。
「増補改訂 日本のスミレ」と5分間ほど格闘……。
いわゆるタチツボスミレのようです。
ニオイタチツボスミレとも迷いましたが、花の色が薄いことから判断しました。
意外といけますね。
次、いってみます!
■3種類目!楽しくなってきました!
しばらく歩くと、3種類目も発見しました。
やや小ぶりで可愛らしいスミレです
花は「白色」で「1円玉」くらい
葉は「円形」です
ここで気付きがありました。
托葉を見ると、最初のヒカゲスミレと同じく「葉柄に沿着」パターンのようです。
このパターンは、ミヤマスミレ類だけです。
托葉は「葉柄に沿着」
チェックは終わっていませんが、ショートカットして調べてみましょう。
ミヤマスミレ類のページをめくってみます。
見つけました!
マルバスミレではないでしょうか。
花と葉に丸みがある点で一致しています。
3種類目も分かりました!
ここで時間切れです。会社に帰って、午後の会議に出なければいけません。
この先でも多くの種類のスミレに出会えそうですが、ひとまず帰ります。
■「スミレ類早見表」は同定のための補助ツールであり、トレーニング教材でもある
今回、スミレ類早見表を使いながら托葉・柱頭・茎など植物体の細部を観察したことにより、スミレの同定により自信を持つことができました。
また、何回か使っているうちに分かりましたが、スミレ類早見表のチェック項目は、必ずしも全て分からなくても大丈夫です。
種類や時季によって判断が難しい場合もあるので、臨機応変に使いこなしたいですね。
そして何より、この早見表のチェック項目を抑えて観察していくなかで、自分自身のスミレの同定能力が向上していると感じました。
おかげで、次にスミレのなかまを調べるときは、抑えどころに迷わなくて済みそうです。
重要な部位の写真を撮っておけば、家に帰ってからゆっくりと調べることもできそうです。
可憐な花ばかりに注目してしまいがちなスミレですが、スミレ早見表を片手に、スミレの托葉や地上茎を観察してみませんか。
(事務局T)