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今年こそ見分けたい!身近な植物識別講座

第3回 黄色い花のつる性マメ

2018-09-18

 この連載では、掲示板でもお馴染みの小林健人先生(長池公園 副園長)が、ご自身の経験を交えながら、その季節によく見られる身近な植物の見分け方を教えてくださいます。

第3回目は"黄色い花を咲かせるつる性のマメ科植物"です。 


秋の名脇役

少しずつ涼しさを感じるようになってきた9月の半ば、道端では早くも秋の植物が目に付き始めました。キキョウやオミナエシ、ハギなど、『秋の七草』として知られる華やかな草花も良いですが、そんな主役たちの傍らでひっそりと花を咲かせている“つる性植物”に注目してみませんか?

この時期、一番よく見かける“つる性植物”は、ギザギザの無い小葉がクローバーのように3枚セットになった葉(三小葉)を持つものでしょう。その大半はマメ科の植物で、見分けやすい種類としては、大豆の原種と言われるツルマメや、根が葛粉や漢方薬として用いられるクズなどが挙げられます。三小葉を持つマメ科のつる植物の中には、互いによく似ており、見分けの難しいグループがあります。特に、黄色い花を咲かせる点で共通しているノササゲやノアズキの仲間は種類もやや多く、初心者泣かせのグループと言えるでしょう。そこで今回は、「黄色い花のつる性マメ」の花と葉による見分け方を整理してみたいと思います。

クズ。根が葛粉や漢方に用いられるクズ。根が葛粉や漢方に用いられる

群生するノアズキ

★クズを図鑑jpで確認

★ノアズキを図鑑jpで確認

 

黄色い花を咲かせるつる性のマメ科植物のうち、関東周辺で見ることができる種類は、ノササゲ(=キツネササゲ)、トキリマメ(=オオバタンキリマメ)、タンキリマメ、ノアズキ(=ヒメクズ)、ヤブツルアズキ、野生化した栽培アズキ類です。栽培アズキ類は、畑や庭に栽培される緑豆、ブラックマッペ(=ケツルアズキ)、カニメ(=ツルアズキ)など複数の品種を、便宜上まとめて総称したものです。これらは、花の大きさや萼の長さ、種子の色と大きさなどから見分けることができますが、同定が難しいことと、山野で見かける例は稀であることから、今回は割愛させていただきます。栽培品種に詳しい図鑑やwebサイトを別途御参照下さい。


栽培アズキ類の花

 

まずは花の形から

ここから先は、栽培アズキ類を除く5種類の見分け方を整理していきましょう。いずれもつる性で三小葉の葉を持つ点は共通していますが、花の形から、大きく2つのタイプに分けることができます。タイプ1は、いかにもマメ科らしい細長い筒状の蝶形花を咲かせるものです。ノササゲ、トキリマメ、タンキリマメがこのタイプに当てはまり、花を正面から見た時に、左右相称であることがポイントです。タイプ2は、花の竜骨弁(りゅうこつべん)と呼ばれる部分がねじれた、丸い形の蝶形花を咲かせるものです。こちらのタイプはノアズキ、ヤブツルアズキが当てはまり、花を正面から見ると、左右が非対称の複雑な形状をしています。花が咲いている場合には、まずはその花がどちらのタイプに該当するか、チェックするところから始めましょう。  

タイプ1=細長い筒形の蝶形花(ノササゲ)タイプ1=細長い筒形の蝶形花(ノササゲ)

タイプ2=ねじれた竜骨弁を持つ、丸い形の蝶形花(ヤブツルアズキ)

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小林健人(こばやし・たけと)

八王子市長池公園副園長。1987年神奈川県生まれ。多摩丘陵周辺の植物相解明をライフワークとしており、フィールドで過ごす時間は年間300日を超える。『新八王子市史』で執筆を担当したシダの仲間と外来植物が特に好き。

 

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