アザミ学事始め
第5回 本州の高山生のアザミ
アザミ学事始の「その5」として、ここでは本州の高山に生きるアザミたちを取り上げる。このグループはキソアザミ群と呼ぶことにする。それはこの名前がこの群で最も古い名前であるからである。その事情は後述する。
この群の形態的な特徴としては、花期に根生葉が生存しないこと、中型の頭花が少数個つき、下向きに咲かせる(点頭する)ことが共通しており、タイプ7はそのような特徴を示している。
タイプ7
① 根生葉は花期にも生存しないが、茎の中部に最大の茎葉がつく
② 頭花は大型〜中型で少数
③ 頭花は下向きに咲く。
代表種=タイアザミ、ナンブアザミなど
日本のアザミ属を再検討することを目的として筆者が研究をスタートさせた時、最初に取り上げたのがこのキソアザミ群である。それは、分布域が水平的にも垂直的にも広くないため、野外調査に重点をおくという立場から、取り組みやすい対象だからである。また、一方には、筆者自身が山登りに慣れていたという事情もあった。研究を進めた結果、命名法に絡んだいくつかの問題を解決できたこともあり、筆者としては印象深いグループである。
キソアザミ群は本州の山域ごとに種類が置き換わっていく。以下、地域毎にみてみよう。
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