永田芳男さんの日本全国花行脚
第1回 花色の濃い桜 オオヤマザクラ
『山溪ハンディ図鑑 山に咲く花』や『レッドデータプランツ』などでおなじみの植物写真家の永田芳男さん。髭がトレードマークで髭さんと呼ばれていましたが、いまでは髭も真っ白くなりました。三つ子の魂百までで、いまだに植物を追いかけて日本全国花行脚を続けています。旅先で出会った野生の草や木を主体に、時に花の名所なども兼ねて、永田さんが気になった植物をひとつずつ紹介していただきます。
花の色が濃いのでベニヤマザクラとも、北海道に多いのでエゾヤマザクラともいう。野生の桜の中で私がいちばん好きな桜である。連載を始めるにあたり、最初にこの花を選んだ。
桜の代表のソメイヨシノはすでに葉桜に変わってしまったが、北国や雪国の山ではこれから5月にかけて、オオヤマザクラが満開となる。4月の中頃から福島、山形、宮城と東北を歩いた。桜を追いかけて行ったわけではないのだが、どこでも桜が大満開だった。
画像の桜は樹形がよくわかる。山の斜面にあったヤマザクラやオオヤマザクラだけを残して、他は伐採してソメイヨシノを植えて桜の苑とした場所に偶然に出会った。崖地に残されたこの木は、かなりの大木でこんもりとした丸みのある特徴的な樹形が良くわかる。後ろに引きがなかったのでギリギリの構図だが、なかなか見事だった。
永田芳男(ながた・よしお)
1947年生まれ。植物写真家。おもな著書に『山溪ハンディ図鑑 山に咲く花』『増補改訂新版 絶滅危惧植物図鑑レッドデータプランツ』(いずれも山と溪谷社)など多数。
【図鑑.jpのオオヤマザクラのプレビューページ】
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=6169
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