永田芳男さんの日本全国花行脚
第8回 見渡す限りのチングルマの群落 ~北海道大雪山~
『山溪ハンディ図鑑 山に咲く花』や『レッドデータプランツ』などでおなじみの植物写真家の永田芳男さん。髭がトレードマークで髭さんと呼ばれていましたが、いまでは髭も真っ白くなりました。三つ子の魂百までで、いまだに植物を追いかけて日本全国花行脚を続けています。旅先で出会った野生の草や木を主体に、時に花の名所なども兼ねて、永田さんが気になった植物をひとつずつ紹介していただきます。
チングルマは、登山者なら誰もが知っている代表的な高山植物である。丈が低いので草のように見えるが木である。一面に群生することでも知られるが、チングルマばかりが延々と咲き続く場所がある。北海道の大雪山である。昨年につづき、今年も大雪山に行ってきた。
大雪山のチングルマの群生の規模は日本一。北アルプスや南アルプスの比ではない。ともかく限りなく咲き続いているのである。まさに花の海原と呼ぶにふさわしい群落である。行けども行けどもチングルマ、歩けど歩けどチングルマである。何はともあれ、今回はその大群落をたっぷりとご覧あれ。
写真=大雪山に広がるチングルマの大群落
写真=旭岳とチングルマ
写真=だいたいこれぐらいで1株
写真=雪が解けたところから咲いていく
チングルマは見どころがいくつもある。群生する花はもちろんだが、花が終わった後の果実。秋には葉が真っ赤に紅葉することはあまり知られていない。季節季節にそれぞれの見どころがあるのである。
なお、今年の大雪山の雪解けは、例年より若干早かった。チングルマは雪が融けるとすぐ咲く花なので、雪解けに花期はかなり左右される。この画像を撮影したのは2023年7月8日~9日である。
永田芳男(ながた・よしお)
1947年生まれ。植物写真家。おもな著書に『山溪ハンディ図鑑 山に咲く花』『増補改訂新版 絶滅危惧植物図鑑レッドデータプランツ』(いずれも山と溪谷社)など多数。
【図鑑.jpのチングルマのプレビューページ】
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=6374
★プレビューページは無料です。初めての方は2週間の無料体験が可能です。