アリ学入門 ~身近な環境で垣間見る魅惑のアリの世界
毎年、公益財団法人日本自然保護協会が展開している市民参加型自然環境調査「自然しらべ」の今年のテーマは「アリ」。今回は、その監修者で『日本産アリ類図鑑』(朝倉書店)の執筆者のおひとりの寺山守先生に、身近で深いアリの世界をご紹介いただきます。
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身近なアリ
アリは最も身近な生き物の一つである。野山はもちろん、市街地の公園や花壇、道ばたの植込みや人家の庭でも容易に目にすることができ、小さな子どもでも、庭や公園のアリの行列を観察することができる。例えば、家のちょっとした庭先でも10種以上のアリがしばしば生息しており、神奈川県の小学校12校の校庭を調べたところ、10種から29種(平均で16種)ものアリが見つかった。東京都内の緑地では、新宿御苑20種、目黒自然教育園36種、明治神宮51種と言った報告があり、都市域でも多くの種のアリが生息していることが分かる。