先日、北アルプス後立山連峰のライチョウの越冬期調査に参加しました。ライチョウは、冬は亜高山帯に降りることが知られていますが、実はあまり詳しい生態が知られているわけではありません。

今回、その調査に参加しましたので、その知られざる生態の一端をお話しします。以下の内容は、あくまでのその地で調査されている方のお話しで、わたしがお聞きしたことのまとめなので、いろいろ間違いがあるかもしれません。あらかじめご了承下さい。

①越冬地について
 ライチョウの越冬地は、亜高山帯と言われますが、北アルプス後立山連峰では、オオシラビソ林上部で、樹高が低くやや疎林になって、ダケカンバが混ざるような場所にできるそうです。極めて狭い範囲で、小群で越冬するそうです。同じような植生でも、越冬する場所は限られているそうで、そこはまだ理由は分からないということでした。

②日周行動について
 ねぐらそのものは、雪庇が発達するような急斜面で、明け方にダケカンバ林に移動して、冬芽を食べた後、昼間は上記オオシラビソ林で過ごすそうです。だいたいオオシラビソの根回りの穴で過ごし、ときおり葉っぱを食べるぐらいで、あまり動かないということでした。日暮れごろにねぐらに戻る1日だそうです。

③食性について
 ライチョウの越冬期のエサは、ダケカンバの冬芽90%、オオシラビソの葉っぱ10%で、立山室堂でも同じような割合とのこと。おもしろいことに、後立山連峰での観察では、オオシラビソに関しては食べる木が限られているそうで、みんな同じ木の葉っぱしか食べないそうです。理由はこれも不明だそうです。

越冬期のライチョウは、まだまだ分からないことばかりです。今回は、多くの研究者が集まる調査でしたが、ライチョウ保護のためにも、今後の研究の進展に期待です。

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