日本菌学会の大会に参加しているのですが、興味深いポスター発表がありましたのでチラリとご紹介します。

「日本産モミタケ属の分類学的再検討(糟谷大河ほか)」

モミタケCatathelasma ventricosumは北米産の標本で記載されたそうで、それと実際に日本産モミタケの分子系統解析をしたところ、そもそも北米産のものとは違うことと、加えて日本海側のものと太平洋側のものも別種となる方向だそうです(ポスター発表なのでまだ中間発表です)。

発表者の糟谷先生は、太平洋側産のモミタケは、過去にArmillaria gigantia Yasudaと名付けられ、センダイサマツと呼ばれたものではないかとお考えでした。『原色日本新菌類図鑑』(保育社)のモミタケの項には「一名 センダイサマツ」とあり、学名のところをよく見ると、異名としてこの学名も掲載されています。

糟谷先生は、今後、このYasuda氏が記載したA. gigantia の標本を探し、DNAを調査したいとおっしゃっていました。また、オオモミタケ、中国産のモミタケも含めて研究を進められるそうです。

その結果によって、センダイサマツの和名を太平洋側のモミタケに当て、学名は属名を組み替えて使うことをお考えでした。結果、日本海側産のモミタケは新種として記載される方向だそうです。

ちなみに、この日本海側と太平洋側のものは、胞子やシスチジアといった顕微鏡的な形態はほとんど変わら肉眼的な形態は微妙で、むしろ、発生する森林や時期の違いの方が明確だそうです。

いやー、きのこは面白いけど本当に大変だ!

★図鑑jpのモミタケのペレビューページ
https://i-zukan.jp/category/syu?category_id=19136

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