掲載図鑑紹介と言いつつやや個人的な話で恐縮ですが、わたくし事務局Kの修士論文はじつはキノコでした。いろいろあって「そうなってしまった」という感じなのですが、キノコを2年間調査する中で、そのおもしろさに目覚めたのが冬虫夏草の1種「タンポタケ」の発見でした。

この仲間は、ツチダンゴというキノコに寄生します。そのツチダンゴは、ミズナラなどに共生する菌根菌で、その子実体(つまりキノコ)は土の中に作るという不思議なキノコです。

この仲間は、ツチダンゴというキノコに寄生します。そのツチダンゴは、ミズナラなどに共生する菌根菌で、その子実体(つまりキノコ)は土の中に作るという不思議なキノコです。

で、「タンポタケ」はそのツチダンゴの子実体に寄生して、地表に子実体を伸ばすので、発見・採集ができるわけです。

当時、大学院生だったわたしは、「ミズナラと共生する菌類の地中に発生する子実体に寄生するタンポタケ」という存在が、曼荼羅のような森林生態系を象徴するものとして、衝撃を受けたのです(ちょっと大げさですが)。

当時は、旧版の『カラー名鑑日本のきのこ』と保育社の『原色日本新菌類』の2つの図鑑をずーっと見ていたのですが、そこで『冬虫夏草生態図鑑』(誠文堂新光社)ですよ!

カラー名鑑とその後のフィールドブックスでは、このタンポタケの掲載種はそれぞれ5種、4種です。しかし、『冬虫夏草生態図鑑』にはなんと17種類も載っているのです! あのタンポタケにはまだまだこんなに広い世界が広がっているのか! あの驚異的な共生-寄生ネットワークは、いろんな環境でそれぞれ発達しているだ!というのは、うん十年の時を経て、またあたらな感動をいただきました。もちろん種数だけでなく、それぞれの情報の量と深度もさすがです。

いやー、『冬虫夏草生態図鑑』を実際にご覧下さい。
圧倒的な情報量ですよ! https://i-zukan.jp/contents/37
*無料トライアルで20日間、図鑑が閲覧可能です。


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