第2回 大陸東端に残ったナガハシスミレ
大陸東端に残るスミレ
種としてのナガハシスミレ Viola rostrata は、日本列島と北アメリカの東部に隔離分布していることで有名だった。ほかにも属レベルで似たような分布をする植物は多い。このことを最初に指摘したのは、幕末にペリー一行が持ち帰った日本の植物標本をもとに研究した、アメリカの植物学者、エイサ・グレイAsa Grayだ。
写真=日本のナガハシスミレ。乾き気味の林の縁などに多く、茎を伸ばさず根生の花を多くつける(新潟県南魚沼市)
ナガハシスミレは日本のものを亜種(Becker)や変種(Ohwi)とする見解もあるが、いずれにしても北米のものと詳細に比較した研究は最近までなかった。2012年5月に、金沢大学の植田邦彦教授一行に随行してカナダのオンタリオ州に渡った。
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