第6回 北海道の高山生アザミたち
アザミ学事始の「その6」は北海道の高山生のアザミを取り上げる。前回、本州の高山生種群ではキソアザミ群を取り上げ、この群が山域ごとに種類が置き換わっていく様子を紹介した。しかし、北海道の高山では登場する種は多くなく、分布の状況は複雑ではないため、種類ごとに解説していくことにする。
1.チシマアザミ─正体が正しく捉えられていなかったアザミ
チシマアザミCirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC.(図1、2)は、花期に根出葉が生存せず、中型の頭花を点頭して咲かせるので、タイプ7で表すことができる。この点は本州の高山生アザミとして取り上げたキソアザミ群と同じである。チシマアザミとその近縁種群はキソアザミ群とかなり近縁と考えられるが、総苞片の腺体がないか、あっても腺体は白色で退化的であることで区別される。
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